49 ページ1
「すまん。」
「気にすんなって、準決勝は俺たちに任せとけ!」
豪炎寺は御影専農戦の下鶴との衝突により負傷、当然部活より病院を優先された。雷門中サッカー部は豪炎寺の乗ったタクシーを見送る。
『……それじゃあ、円堂。』
「そうだった、お前も今日は帰るんだったな!」
大神が声を掛ければ、円堂は思い出した様に頷いた。その場の全員が首を傾げる中、風丸と円堂は励ますように肩を叩く。
「何かあったら連絡しろよ。」
『ああ、終わったら一応連絡入れるよ。』
「また明日、サッカーやろうぜ!」
『また明日、皆もまたね。』
手を振りながら大神はその場を後にする。サッカー部には、事情を知っている円堂と風丸が上手く誤魔化してくれるだろう。
『……思い出すんだ。』
大神は病院へと向かっていた。今日はカウンセリングの日、皆からは「今日は落ち着きがないね」と言われていたが、理由がこれだ。
使用人の迎えは呼んでいない。なるべく歩いて時間を稼ぎ、気持ちを落ち着かせたいからだ。
深呼吸をしながら歩く。
「大神の令息が1人でこんな所を歩いているなんて、不用心ではありませんか。」
ふと、人の気配がした。
『……君は……』
酷い耳鳴りがし始めた。
声のした方へと振り向けば、ドレッドヘアに特徴的なゴーグルの少年……帝国学園サッカー部キャプテン───鬼道有人が立っている。
たしか、鬼道財閥の養子である人物の筈だ。
大神財閥は鬼道財閥と少しばかりの縁はあるものの、大神が実際に鬼道と接触するのは初めてになる。
『あはは、貴方こそ鬼道財閥の御令息が1人で散歩ですか。鬼道有人サン。』
「フッ……まぁ、そんなところです。」
鬼道は大神の正面まで歩き、そのゴーグルの奥にある赤い目で大神をじっと見つめた。
『……何か?』
「……大神A。」
『?……はい。』
「……これが、貴方の名前なんですね。」
『そう、ですが?』
鬼道は噛み締めるように大神の名を呟く。大神はこの現状に、ただひたすらに困惑した。
『……ッ?』
耳鳴りと相まって、頭痛すらも始まる。
しかし、その痛みすら気にならない程に、鬼道から目が離せなくなる。
───この人間を、どこかで見た気がする。
鬼道と脳裏に浮かんだ誰かが、重なった。
39人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鷹羽(プロフ) - 雪華さん» 詳しく知っているアニメはあまり多くないのですが、上げるとするなら、このイナイレであったり、ジャンプコミックスのアニメ化した作品あたりを知っています。 (2021年3月6日 16時) (レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 知ってるアニメは何ですか? (2021年3月6日 13時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鷹羽 | 作成日時:2021年2月26日 12時