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耐えられなくて、その場から走り出した。

後ろから止める声が聞こえるが、脚を止める気は無い。

大神Aは焦っていた。

果たして間に合うか、否、間に合わせなくてはならない。

こんなこと(・・・・・)許されて良い筈が無い(・・・・・・・・・・)……!』

伸ばしたその手は、一体誰を救うためだっただろうか。
_____

『───ッ!!』

目を開くと自宅のベッドで寝ており、伸ばした手は空を掴んでいる。痛む頭を抑え、上半身だけを起こした。

『……ッ、家……か。』

喉が乾燥しているせいか、上手く言葉が発せない。掠れた音が喉から零れ、喉元をさすった。

『……どうやって帰ってきたんだ?』

昼休み、円堂が呼ばれて教室を飛び出した以降の記憶が抜け落ちている。東と何か話していた気もするが、その後何かあったのだろうか。

部屋を見渡せば、通学用の鞄が置いてあった。時間は既に19時を回っていて、外も暗く星が見える。空気の循環のつもりで窓を開け、縁に寄りかかった。

『……結局、何を言い渡されたんだろうか。』

冬海に呼び出された時の、円堂の険しい顔を思い出す。廃部だと言われたなら、今頃彼はどうしているだろうか。円堂は落ち込んだ時は鉄塔に行く、今頃鉄塔に居るのだろうか。

『……円堂。』

「円堂じゃなくて悪いな。」

『……!』

声のした方に身を乗り出すと、風丸が手を振っている。囲われたこの家から抜け出せるよう、幼い頃円堂たちが作った抜け道の入口に立っている。

着替えずに動き回ったのか、制服が少しばかり乱れていた。

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作者名:鷹羽 | 作成日時:2021年2月19日 3時

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