Nectar【川村壱馬】

17（壱馬side） ページ17

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壱馬side









今日も、彼女からの連絡は無い









トレーニングが終わってシャワーを浴び、事務所に戻って、メンバー会議が終わったところ









１６人の大所帯は今日も賑やかな中、
一人、携帯とにらめっこ









壱「…んー」









連絡してくれると思ったし…









興味持ってくれてると思ったんやけど…









……俺の思い違いか？









大きな目、整った鼻筋に、ぷっくりとした唇









彼女を受け止めたあの瞬間、覗き込んだ時のあの表情は、絶対に忘れられへん









あぁそうか









俺は彼女に恋してるんや、って









そう気付くまでに、時間は長くかからなかった









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翔吾「いや〜腹減ったな」


陸「飯行く？」


翔平「いいっすね〜行きやしょう陸さん！！」


慎「うるさい翔平←」


翔平「僕は先輩だよ慎くん？」









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端の方で広がる会話に入る事も無く、気持ちを落ち着かせる為に文庫本を手に取った









壱「……」









アホか俺は…集中出来るわけないやろ？









翔平「壱馬さーん、焼肉行くけど行きますよね？」


壱「あー…悪い、俺行くとこあるわ」


翔平「えぇー！珍しくもないけども！」









一瞬だけ目を通した文庫本を鞄にしまい込み、佐野珈琲へ向かう事を決めた









壱「すみません陸さん」


陸「いいよー！また行こうね！」


慎「LINEしますね」


壱「おう笑」









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寂しそうな表情の慎の肩をバシッと叩き、ロビーへ向かうエレベーターの到着を待つ









…A、どんな顔すんねやろ？









大人っぽい彼女の瞳が揺れる瞬間を見てしまったら、その先をもっと知りたくなってしまう









北「壱馬、どこ行くの？」


壱「おお。珈琲飲みに行ってくる」


北「いいね！俺も行きたい！」


壱「ええけど…珈琲飲めたっけ？」


北「飲めるよ？」









ケロッとした表情でそう答えた北人








Aの事、知られたくないなーなんて









そんな独占欲が見え隠れする中、ワクワクした雰囲気を纏った北人を連れて、佐野珈琲へ向かった









北「何て店？」


壱「佐野珈琲」


北「あー！キャプテンがマスターやってるとこじゃん！俺まだ行った事無いんだよね！」


壱「めっちゃ美味いよ」









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やった、とワクワクしながら歩みを進める北人を横目に、彼女の事が頭から離れずにいた






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