43,「魘魅の器」 ページ43
彼は、生きる屍に成り果てたのだと自嘲する。
魘魅「俺は自分の手によって壊れていく世界を見ている事しか出来なかった。だが、丁度その時だ。俺の元にAがきたのは」
……え、
『私が、かい…?』
でも確かに神楽ちゃん達も銀時君が居なくなった後に私も行方をくらませたと言っていた。
……やはり、私は銀時君を追いかけたのか。
魘魅「Aはメモを見たのか白詛がウイルスと知っていた。俺の体に何が起こってるのかも聞いてきた。勿論俺は正直に答えて今すぐ逃げろと言ったさ」
でも、
魘魅「相も変わらずお人好しだったよ。俺を必ず治すと着いてきた。突き放そうと脅そうと聞かず」
『えぇ…』
私が?銀時君に?信じらんない……
魘魅「だが、そんな日々を続けて三年経った頃だったか……」
『!』
____三年。神楽ちゃん達が言っていた時期。
魘魅「俺の中のウイルスはAさえも侵し、殺そうとしたんだ」
『!』
銀時「ッ!?は、俺がか!?」
魘魅「…あぁ、驚くだろ?俺だって一番殺したくねェ相手だったんだよ」
声を荒げる銀時君。そんな銀時君を見つめて魘魅の器は悲しげに笑った。私はと言うと……あまり、実感がわかなくて。
魘魅「だが俺はAを傷付け、殺した」
(じゃあ…私はその後神楽ちゃん達の所に…)
魘魅「…コイツで分かったろ?俺は自分を殺しAを助ける為にお前を招待したのさ」
…………厭に悲しい物語だな。
厭魅「そして、俺はこのまま消える。だが呪われた因果から世界を解放するには何をすべきか……」
そんな三流小説を終わらせるには、呪いの因果を断ち切る……つまり攘夷戦争時代の呪いの根源たる銀時君を殺す、しかない。
(………でも、銀時君が死んだら、私は__)
魘魅「……A」
『!何?』
魘魅「最後に顔を、見せてくれねーか?」
『え、』
白詛に侵された体で……けれど、触れようとして此方に手を伸ばしてくる魘魅の器。目も、よく見えないだろうに。
魘魅「死ぬ時くらい愛した女に看取られてェんだ」
『…』
私は無言で厭魅の器の頬に手を滑らせた。ここにいるとでも言う様に額と額をコツン、と軽く合わせる。
三流小説の主人公が、少しでも心地よく逝けるように。
ー
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夢花(プロフ) - 実珠さん» naluhodone☆wakaruwa☆ (2021年5月9日 20時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 夢花さん» そうなのよ……銀魂男子は絶対そういうの大切にすると思うのよ…… (2021年5月9日 20時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - てか、夢主ちゃん死してなお愛されてるのね…ぐへへへへ←は? (2021年5月9日 20時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 実珠さん» おk!暇やったら見るわ!呪術廻◯戦といい銀魂といい…ネトフリでみなきゃいけないのが増えてきたぜ☆嬉しいけどね☆ (2021年5月9日 20時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 夢花さん» あ、でも夢主が真選組だからちょっと意味分かんないかも。これもネトフリでやっとるで。銀魂完結編、って調べれば出てくると思う (2021年5月9日 18時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2021年1月6日 14時