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199話 「侵入経路=脱出経路」 ページ6

顔を紅くしながら、しかし意味が分からないと言った顔で俺を見るAに喉奥でクツクツと笑った。

「くすぐってぇか?」
『何すんですか!』
「理鶯が言ってたからな」
『はい?』
「感度良好って」

ここまでされても逃げねえ。あとはなし崩しだな。こんだけ感度よけりゃ相当イイだろうな。
顔をずいっと近づければ案の定逃げをうった奴の身体。重心が後ろにかかったのを見てそのまま肩を押した。ころんと仰向けに転がった獲物に覆いかぶさる。
俺の顔を見て思考停止しているらしいAを見下ろす。おーおー、クソ可愛いな。昨日の今日まで考えもしなかったが、そのかわいー顔がぐっちゃぐちゃになるところも見たいわ。

「理鶯あたりに文句言われるかもしれねえが、味見くらいいいだろ」
『……味見?』
「ふはっ、カマトトぶってんじゃねえよばぁか」

全く意味が分かりません見たいな顔しやがって。もう年齢的にはオトナだろ?
優しくしてやるかと思いながらぺろりと舌なめずりをした。
瞬間、ヤツの赤い瞳に脅えが混じる。俺がそれに反応するよりも先に腹部に鈍い痛み。低く呻いている間に奴の背中は玄関に向かっている。
反射的に立ち上がり、飛び出して行ったAを追って外に飛び出したが既に姿が見えない。

「クソッ………どこ行きやがった」

本当に一瞬だった。
拒否の色を見せてから行動に移すまで。じゃなければ俺がこんな無様を晒すかよ。
そして、その一瞬の表情がどうしようもなく脳にこびりついて離れやしねえ。

「………あー、やべえかも」









普段から侵入経路探しといてよかった。
侵入経路、それすなわち脱出経路にもなる。フェンスを乗り越えてアスファルトに着地し、漸く一息ついた俺はずるずるとしゃがみこむ。わざと普通の出入り口は使わなかった。万が一にでも回り込まれてたら怖いし。二階で降りて、壁をつたってフェンスから脱走。身体能力のなせる業である。にしても………。

『……怖かった』

前の世界で気づいたこと。俺はそういう欲を向けられるとぴしりと固まってしまう。知っている人からでも、知らない人からでも。だからそういうきっかけのセリフは全てへし折っていたし、そういう目を向けられないようにしていた。
というか俺がゴリゴリに強いと知っているのにそういう事を狙ってくる奴がまずもって少なかったというのもある。
何らかの理由によりどうしようもない時は、例の同僚が護ったりもしてくれていた。本人は意地でも認めねえけど。

200話 「金権力女(?)に酒」→←198話 「押し倒せば後は余裕」



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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作戦隊長 | 作者ホームページ:tp://  
作成日時:2019年5月26日 20時

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