228話 「下品な男たち」 ページ35
とりあえず壁に背中を預ける。後ろ手に縛られているせいで肩が痛い。抜けようと思えば抜けれるし、縄だって燃やせるが今はその時ではないだろう。
『どうすっかなあ……』
思っていたより人数が多かった。
全員救出するにしても一人じゃ守れないだろう。よく考えたらあの世界の俺とは性能が違うのだった。おバカかな?おバカです。
二度目のため息を漏らそうとした瞬間、部屋に一つだけのドアが開いた。中にいる全員が顔を上げる。入ってきたのは二人の男。スマホを手にしている奴と、何かが入った袋を持った奴。
「さぁて、カワイく映れよぉ?」
「変態くせえ」
「いーからさっさと札つけていけよ」
「あいあい」
会話からして動画でも撮っているらしい。
女の子たちはドアから一番遠い壁に一塊になって震えている。俺はさりげなく前に出て集団の先頭だ。のっぴきならないときはぶん殴る魂胆だから。
…………おや?
「番号テキトーでいいだろ」
「つけ損ねんなよ」
「あー、俺コイツ好みだから一番にしていい?」
「さっさとしろ」
「えーマジ好みだわ。ヤってもいい?一回だけ」
一番端っこの女の子が1と書かれた札を付けられながらそんなことを言われている。早々に飛び蹴りをお見舞いするべきかと構えようとしたところ、スマホを持っている男が口をはさんだ。
「やめとけって。テメェが手を付けた奴なんて売りモンになんねえだろ」
「あー、それもそうか」
納得していいのかお前。
そして売り物という言葉で俺の背後にいる女の子全員が息をのんだのを知る。察しはついていただろうが、自分たちの置かれている危機が確定してしまったわけだ。そりゃそうだよね。そこからは手早く片方の男が札を付けていき、スマホを持った男は札が着いた女の子から動画に納めていく。
俺の番号は13番………不吉だねえ。
「おぉ……こいついい値がつくぜぇ」
「13?」
「赤い目はカラコンじゃねえみてえだしなあ。こういう顔のは泣いてよがらせてえって変態からとんでもねえ額がつく」
「よかったなあ、変態の買い手がつきそうだぜ」
「ご視聴中の変態の方〜、おすすめですよぉ」
そりゃどうも。ゲラゲラ笑う男どもを殴ってやりたいがやめた。
代わりに画面の向こうにいるだろう変態を睨みつけるつもりでスマホのレンズを見る。
全員をひとり一人映した後に、再び引きで全員を収めると男たちは部屋から出て行った。
奴らがいなくなった瞬間に、室内の緊張の糸がぷつんと音を立てて切れた気がした。
229話 「一般人じゃない人」→←227話 「執着≒愛着?」
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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