【ヒプマイ】どこの世界でも俺が最強だと思ったら大間違いだクソボケ！！【5章】

221話　「耳に穴はちょっとタンマ」 ページ28

左馬刻さんの荷物が一つ増えた。
俺の持ち物も一個増えた。買ったばかりのバッグである。これすらも左馬刻さんが持とうとしてきたからあわててスマホと財布と籠(銀が入ってる)を突っ込み、「これは持ってます！」と死守。
ショーウィンドウに映った自分の姿を見て溜息しか出ない。なんでこうなってんだろ。俺、左馬刻さんに謝らなきゃいけないのに、お礼まで言いまくらなければならないのか。
うわー、凄いね。化粧に服に靴にバッグ……馬子にも衣装ってね。

「おい」
『え？』
「ホントに欲しいもんねえのかよ」
『ないですよ』
「………少しくらいあんだろ。服か？靴か？ああ、ピアスでも開けっか？」
『ぴ、ピアスは……痛そうなんで』

するりと右の耳朶を撫でられてとっさに隠した。そして思わず左馬刻さんの耳を見る。いっぱいついてるし、要はその分穴は開いている………え、痛そう。ぶるっと震えれば可笑しそうに笑われた。

「ンなモン一瞬だ、一瞬」
『遠慮しときます』
「ま、いつかブチ開けてやんよ」

や、ヤクザ怖いでしょう。ニィって笑った左馬刻さんに曖昧に作り笑いを返しておいた。
そしてこのヤクザ、意外と笑う。そして笑顔のレパートリーも多い。顔もいい。三度目のSAN値チェック入りそう。

「じゃ、ああいうのか？」
『ああいう？』

左馬刻さんの視線の先にはTSUTAYA……のゲームコーナー。
PS４のポスターが貼ってある。一瞬ウズッっとしたが生憎理鶯のキャンプ地にはテレビはない。宝の持ち腐れである。

『好きですけど大丈夫です。やりたい時は銃兎さんの家行けばできますし』
「……そーかよ」
『あ！銃兎さん、ああ見えてバイオハザードめっちゃ上手なんですよ。カッコよくないですか？理鶯さんも初めてとか言いつつアホみたいに上手いし』
「………へぇ」
『この前も俺が敵に囲まれて死にそうになってるのをワイングラス片手に鼻で笑ってましたからね銃兎さん。ムカつくからってやらせたらえげつないスピードで切り抜けるんですもん腹立つけどカッコいい……顔もいい頭も切れるゲームもできるって……神は銃兎さんにいくつ与えれば気が済むんですかね』
「……随分銃兎の事大好きじゃねえか」
『そうですか？まあ確かに銃兎さんの顔は死ぬほど好みですけど……実際三回くらいは直視して死にましたし。あとゲーム上手い人は上乗せしてカッコいいって思います。よって理鶯さんもイケメン……つーかあの二人顔面偏差値異常でしょどうなってんだよ』

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