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44話 「侵入者じゃなくて」 ページ47

木刀を握りしめ跳びかかろうと足に力を込めた瞬間に、後ろから羽交い締めにされた。
前に意識を集中させすぎておろそかになりまくっていた、はずみで木刀を落としてしまったが、俺を拘束している人間を確認して少しホッとする。

「そこまでだ。……A」
『でも……』

未だにマイクを握ったままこっちを睨んでくる白髪の男と理鶯を交互に見る。その様子に困ったように笑った理鶯はスーツの男をちらりと見た。
するとみられた方も困ったように眉を顰める。

「おい左馬刻、マイクはなしだ」
「あ゛ぁ!?」
「すまない左馬刻。小官からも謝ろう」
『ご、ごめんなさい』

俺の拘束を解いて謝罪の言葉を述べた理鶯に、空気を読みつつ俺も頭を下げた。どうやら様子からして二人とも理鶯の知り合いだったようだ。どんな理由があろうと、俺が蹴りを入れたのは事実であるし。

「いえ。こちらもマイクを出すなという忠告を無視しましたし、おあいこですよ」
「………チッ」

スーツの男に意味深に目線を送られた白髪の男は盛大な舌打ちの後、マイクを仕舞ってくれた。漸く俺の緊張が解ける。

「さて……立ち話もなんですし」
「そうだな。A」

理鶯に呼ばれてキャンプに戻り始める。後ろからついてくる気配がしたので振り返ればメガネの男、白髪の男の順で着いてきていた。スーツの男は俺と目が合うとニコリと笑みを向けたが、その後ろの男は「あぁ?」とでも言いたい顔で睨んできた。思わず前に向き直り理鶯の上着の裾を握る。こ、怖い。
後ろからの視線をバシバシ感じながらどうにかキャンプのところへ到着した。太陽は西に傾きだしており、そろそろと東の方から闇が迫ってくる気配がする。
山菜を一旦キャンプに置きに行き、戻ってくれば三人は丸太でできた椅子に腰かけていた。
俺はどうすればいいのだろうかときょどっていればスーツの男が気づいて理鶯に目線を送る。
気づいた彼は手招きで隣に呼んでくれた。大人しく従ったが白髪の男の睨みが怖い。

「初めまして、Aさん。今しがた理鶯にお名前を伺いました」
『あ……どうも。えっと……』
「入間銃兎です」

物腰柔らかそうに見えるが……なんか食えない雰囲気。
あいまいに笑顔を返せば白髪の男が口を開いた。

「おーおー、イイヒトぶりやがってウサポリ公」
「何を言うんです。私ほどいい人はいませんよ」
「ほざけばぁーか」

うーん………世間一般のイイヒトではないかもね。

45話 「ご命令とあらば」→←43話 「上からくるぞ気をつけろ!!」



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カルラ - ゴファッ!! なんだこれは、、、、、 めっちゃいい! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 92a66c530f (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - たぬきなたぬたぬさん» ありがとう……ございます……(´;ω;`)これからもよろしくお願いします! (2019年3月2日 13時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
たぬきなたぬたぬ - ほんとに.....なにこれ......すき.......。 (2019年2月26日 21時) (レス) id: 83afc62697 (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - だまこさん» 理鶯推しがここにwありがとうございますw (2019年2月18日 18時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
だまこ(プロフ) - 理鶯が1番好きなんじゃあ (2019年2月18日 17時) (レス) id: 3c83364c40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作戦隊長 | 作者ホームページ:tp://  
作成日時:2019年1月6日 21時

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