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26話 「ボロが出るのはいつもの事」 ページ28

どうにかこうにかひねり出した話をすることにした。

『俺ついこの前20歳になったんですけど』
「そうなのか?」
『見えないですか?』
「ああ。もう二歳くらいは下だと思っていた」
『あはは……海軍の奴らとか仲間とかにもよく言われました』

お前は出会ったころから変わらねえなあとか馬鹿にされながらいろんな奴から色んなものを貰った。使う前にこっちに来ちゃって申し訳ないけど……というか、俺が突然消えたわけだけど、向こうの世界ではどうなってんのかな。大騒ぎしてるんなら申し訳ねえな。つうかあのサボり魔はちゃんと仕事してるんだろうか。

『で、プレゼントで赤い髪飾り貰ったんですけど。その髪飾り俺の髪の色と全く同じ色で、「同化してる」って指差して笑われました』
「赤い髪飾りがか?」

ひゅっ、と息が止まった。そうだ、俺の今の姿は生まれ育った容姿に戻っているんだった。目だけ赤いけど。数年間赤い髪で生きてきたもんだから普通の感覚で話していたが……今、俺の視界に入っている前髪も、後ろの髪の毛も………真っ黒。

『あれ、いま赤って言いました?』
「ああ」
『言い間違いですね。黒いやつです』
「そうか」
『寝ぼけてきたみたいですね……寝ます。すみません』
「ああ、おやすみ」

んな事はない。なんなら心臓バックバクだ。
これ以上ボロを出さないように、目を瞑った。もう寝よう。これは寝たほうがいい。









あの後眠りについたが……明らかな敵意で跳ね起きた。

『ッ!!………銀』
「……キュ?」

枕元で寝ていた銀を小声で起こし、上体を起こす。
幸い毒島さんはまだ寝ている。起こさないようにそろりそろりとテントを抜け出す。
気配を探りながら木々の中を進めば、複数人の男が手に武器を持って小声で何かしらを話しているらしかった。
遠目からで把握できるマイクは一本……先にあいつを潰したほうがよさそうだな。









「キュ?」
『ん?……ああ、大丈夫』

伸びている男たちの中で天を仰ぐのは俺。兎の姿に戻った銀が心配そうに声をかけてくる。
マイクを隠し持っている奴が一人いた為、無理な態勢からそいつを潰しに行ったらこのザマである。頬に刃物が当たって切れ、口の端に血が流れてきた。

『ああクソ、血の味がする』

武器を回収しながら口の中の血をペッと吐き捨てる。
このマイクも回収対象だろう。三本のナイフを抱いて、残り四つの武器もどきは担いだ。

27話 「取り扱いには注意します」→←25話 「プロトタイプ」



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カルラ - ゴファッ!! なんだこれは、、、、、 めっちゃいい! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 92a66c530f (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - たぬきなたぬたぬさん» ありがとう……ございます……(´;ω;`)これからもよろしくお願いします! (2019年3月2日 13時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
たぬきなたぬたぬ - ほんとに.....なにこれ......すき.......。 (2019年2月26日 21時) (レス) id: 83afc62697 (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - だまこさん» 理鶯推しがここにwありがとうございますw (2019年2月18日 18時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
だまこ(プロフ) - 理鶯が1番好きなんじゃあ (2019年2月18日 17時) (レス) id: 3c83364c40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作戦隊長 | 作者ホームページ:tp://  
作成日時:2019年1月6日 21時

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