Story 4. ページ5
実力だけは確かなのだという者の事だ。この際、目的が達成できれば良い。
颯太の提案に少し考え込む様子を見せたAだったが、すぐに顔を上げると、小さく頷いて“凪斗”の許へ向かおうと歩き出す。
──その後ろを歩く颯太の目には、彼女の後ろ髪の緑が眩しく映って見えた。
〜･〜･〜
噂の探偵の住むと言われる家は、騒がしい街の大通りを抜け、更に建物の密集した土地を離れて少し歩いた先に建っていた。
若干の丘を登った所に孤立し、堂々と建つ家は、Aや颯太の目から見てもそこそこに立派な建物だ。
「(……“如何にも”って感じの所に建ててるな……)」
きっと、凪斗とかいう探偵は人混みを嫌うタイプなのだ。そもそも、人付き合いが上手くないのだと言われるくらいなのだから。
そう考える今になってこの人物を頼る事に不安を覚えて来たが、傍らをちらりと見やれば、いつものようにそこに立ってこちらを見ているA。扉の真ん前に立った颯太が、家のベルを鳴らすのを待っているのである。
「(…………行くしか、ないか)」
彼女の望みを叶えるためには、自分ではどうしても力不足になってしまう事がある。これを補うためには、この大都市に揃うと言う探偵達の中でも優れた腕を持つ者が必要なのだ。そして今この状況に合っている探偵は、ここに居るのだと言う彼しか居ない。
顔を見る前から印象がた落ちよろしくな心持ちを抱きながら、僅かに顔つきを強張らせる颯太は目の前のベルを鳴らす。すると、ほんの数秒後に玄関の扉が開き、中からは六十半ばと見られる男性が現れ、二人の姿を認めては恭しく頭を下げて言った。
「──お待たせ致しました。御用件は如何なもので?」
まさか、この家に自分と“同じ”人間が居るとは──驚いた颯太は返す言葉を忘れて、目の前に現れた“執事”の姿を凝視してしまう。そんな彼の様子を知ってか知らずか、愛想よく微笑んだAが相手の声に応える。
「こんにちは。あの……こちらに、凪斗さんという、この都市中でも腕の立つ探偵様がいらっしゃると聞いて来ました」
「……かしこまりました。こちらにどうぞ」
Aと颯太が通れるように、大きく扉を開いた執事が家の中へ二人を招き入れた。
玄関から中に入ると、前方には長い廊下が続くが、彼等は入ってすぐ左手側に見える扉の中の部屋へと案内された。どうやら、この部屋が応接間となっているらしい。
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フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
