Story 17. ページ18
「…………そうですね」
世界に在る中でも最も豊かな街だと思っていたが、そこに住む彼らも、彼らなりに苦労している事があったのだ。
犯罪等が起きづらいのは良い事だが、それを思うと心が痛んだAは凪斗の言葉に曖昧に頷いて、住民達の姿を見つめている事しか出来ない。一方で、颯太もそんなAの様子を気にしながら、凪斗に一つ声を投げかける。
「それで……情報収集をするのは良いけど、グライダーはどうするんだ? まさか、コイツをこのままって訳にもいかないだろう」
「そのグライダーは折り畳み式だ、ある程度までは小さくなる」
そうしたらこの鞄に入れて持ち運ぶんだ、と凪斗は自分達の身長の半分はある大きさの鞄を颯太に投げ渡した。
二人はグライダーにある決まったスイッチを押し、自動的にコンパクトに折り畳まった機械を鞄の中に押し込むと、それを片肩に掛けて背負う。またこの時、一連の様子を見ていたAの問いが凪斗に向けて投げ掛けられた。
「情報は、この街の中で集めるんですか?」
「ああ。街の中心に建つ“守護棟”へ向かう」
──守護棟とは、例の守護団体が本拠地としている棟の事だ。高く、且つ広くそびえ立つ建築物はさながら夢物語に現れる城のようである。しかしそこに王の存在は無く、代わりに居るのは守護団長。
凪斗は守護団体からの表彰の時に彼の人物と対面した事があるが、二度と会いたいとは思っていない。……それはさておき。守護棟の中には、隊員達の生活区間や謁見室などが設置されているのだが。
「守護棟の中の一つに、あらゆる分野全般に至る情報が集まった“資料庫”がある。その中には、誰も見つけた事のないアーラについてを調べた物好きの本もある筈だ」
「けれど、その資料庫はかなり大きな場所ですよね。アーラに関する資料を見つけるだけでも、一苦労なんじゃ……」
Aもその場所には足を運んだ事があるが、あまりに大きな資料庫だったので、目的の本を探すのを諦め、すぐに家族の許へ戻ってしまった覚えがある。
例えるなら、貴族が住む大豪邸のあらゆる室内に図書館の如く本棚を設置し、そこにきっちり本を入れて行けば、ようやく綺麗に全ての資料が収まるくらいの量。そうなると、豪邸のどの部屋を訪れてもあるのは本、本、本──そんなレベルの膨大さだった。
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フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
