Story 15. ページ16
あの的確さは確かに認められるべきだと思うが、それでも颯太は納得できない。Aは再び彼を見上げるが、やはり彼の顔つきは険しいまま変わらなかった。
しかし、彼女はそんな颯太の姿を見ても動じる様子を見せる事無く、いつもの事のように、穏やかに微笑んで見せてはこう諭すのだ。
「でも颯太、彼は嘘を吐きませんよ」
「…………!」
「私達の旅に必要なのは、私達を導いてくれる存在の優しさだったでしょうか。──例え優しさを含んでいるのだとしても、嘘を吐いてもらえる配慮だった?」
「…………それは」
今度は息を呑んだ彼の瞳が、戸惑いに揺れた。……怒りが揺らいだ。颯太が自分への気遣いを向けてくれている事は、Aにも容易にわかる。彼女はその配慮を有難いとも思うが、だからこそ今、Aが必要としているのは、颯太に無いものを持っている人物なのだ。
颯太が持っているものは、彼一人が居てくれるだけで十分に満たされているから。それに、凪斗自身を見ていても思うところが幾つかある。そう、例えば──
「……私は彼に教えてもらった気がします。探偵が探偵として求められたいのは、仁徳ばかりではなくて、純粋な技量──自身が持つ腕なんだって」
だから彼は“探偵”の意味をはき違えてばかりの貴族を妙に嫌うし、少なくとも良家の子女であるAを軽蔑する。依頼人を選びもするし、受け付けられない相手だったなら追い払う事さえする。例えその言動が、人々からの評判を落としてしまう事になったとしても。
そういう意味では、彼は評判やその雰囲気に無く純粋な人だと、Aは思うのだ。きっと凪斗は、自身の腕に関しては大いに自信を持っている人物なのだろうとも。
「こんな私の考えを、貴方に無理にわかって欲しいなんて言わないわ。でも、暫くの間は様子を見てみない? きっと貴方も彼への見方が変わると思うの」
「…………アイツがあの態度な限り、変わりませんよ」
「…………」
──少なくとも、Aがこちらに言い伝えようとしている事はわかった。だが、それとこれとは話が全く別だ。彼は凪斗を許せる気にはなれない。
目を伏せながら、呟くような声でそう返答した颯太に、Aはただ仕方なく笑みを浮かべては、前方に広がる景色へと視線を移したのだった。
〜･･〜･･〜･･〜
Story 16. 「大都市“メトロポリス”」→←Story 14.
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
