一途な天才軍師くん (ページ5)

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「黒田くん？！」
「わからないか？こいつは今、甘い物を欲していない」
黒田くんがそう言うとみやびちゃんと明智くんは申し訳無さそうに、そして豊臣くんは残念そうにでも塩っぱい物持ってくる！と少し明るかった。

「助けてくれて、ありがとう？」
「なぜ疑問形なんだ」
片手に持たれているアイスコーヒーのコップを私に渡してくれた。
甘い物を食べすぎた後は絶対にコーヒーを飲むことを知っている黒田くん。
さすがの観察眼、敵うことが無い黒田くん。
私と同じのアイスコーヒーを飲む黒田くんは苦いって顔もせず、大人な表情で飲んでいく。

「お前は、苦手なのに何故飲む」
アイスコーヒーを飲み終えた黒田くんはもう一杯目をコップに注いでいる。
「口直しになると思って…」
別に私はコーヒーが好きという訳では無い。
ただ甘ったるいあの味が口の中に残っているのが嫌なだけだ。そして大人っぽい黒田くんに少しでも近付きたかったから。

「これが飲めても飲めなくても、俺は別に気にしないがな」
「え！黒田くん、今なんて…」
コップを口にやってぐいっと飲む。
私が説いた言葉には答えなかったけど優しい目で、でもどこか男らしく笑ってくれた。
本音を言えば答えてほしかったけど策士の黒田くんに手の上で転がされるのも悪くはない。大人な黒田くんに近付けるのはいつになることだろう。