星が一つ ページ21
夜──私はメル姉と一緒に星を見ている。私たちの家がある場所は町から離れた丘の上で、とても星が綺麗に見える。
「ねぇ、シャーロット。ずっと前──ここに初めて来た時のこと、覚えてる?」
ふと、メル姉がそんなことを口に出す。
覚えてるに決まってるし、そんなこと聞くまでもないくらい分かっているはず。
「そんなことも分からないくらい、メル姉は馬鹿なのか、です」
いつものように毒を吐くが、それでもメル姉はニコニコと笑っている。時々、その笑顔を見るのが辛くなる。
「メル姉、私──」
「いーの、分かってるよ。」
俯いて自分の想いを呟こうとしたが、やはり地獄耳のメル姉の事だから、邪魔してきた。そういう所が嫌なんだってことを、理解してないな。
「シャーロット、本当は我慢してない? 私に何か隠してない?」
メル姉は、いつも鋭いところをついてくる。
「私、本当はメル姉に自分のことを考えて欲しくて、私とかの他人のことよりも自分のことを大切にして欲しい……です」
「分かった。だからさ、泣くなって」
自然と、私は泣いていた。それをメル姉が拭ってくれた。
「本当に……人の事ばっか考えんな、です」
最後の方は嗚咽混じりだったかもしれない。でも、きっと人思いなメル姉には届いただろう。
それは──真っ直ぐ空を向いて、ニコニコ笑っていたから。
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メイドのもも(プロフ) - 桜花で更新します (2020年5月19日 9時) (レス) id: 3d1581623e (このIDを非表示/違反報告)
梨兎(プロフ) - 更新終わりました! (2019年12月19日 4時) (レス) id: f393b65561 (このIDを非表示/違反報告)
梨兎(プロフ) - 鈴ノ枝 海景で更新します! (2019年12月19日 4時) (レス) id: f393b65561 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月姫(プロフ) - 更新完了です! (2019年12月19日 3時) (レス) id: 876f512bd1 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月姫(プロフ) - 夜遅くにすみません!マグノリアとオーベロンの1話ずつ更新します! (2019年12月19日 2時) (レス) id: 876f512bd1 (このIDを非表示/違反報告)
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