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その時の村人達の恐怖たるや。想像しただけで大変だったろうに。
今だから言えるが、こんなのどう考えても夏のホラー特番案件である。意味がわかると怖い話に殿堂入りできるレベルだろう。私だって怖い。
この世界の鬼なんてどう考えても人類の敵、捕食者、である。会ったことがない私でも、それぐらいは分かるとも。そんな鬼からどういうわけか無傷で見逃されている私。不気味にも程があるだろう。もちろん、村人は私を殺そうとした。けれども、村長がそれを許さなかったのだ。
その村長の爺さんこそが私を育てた親代わりなのだけれども。
でも、今だからわかる。わかってしまう。
私はあの爺さんの愛情故に生かされていたわけではない。私は、この時の為に生かされていたのだ。
この村には鬼が寄ってこない。爺さん曰く、「この村は裏の山に住む神様に守られているから」らしい。だから毎年、年に一度、山にある社に供え物をするのだと。
確かに私は、生まれてこの方鬼を見たことがない。話に聞くだけで見たことはないのだ。
社は山を数分登ったところにある。その社に野菜やら米やら酒やらの供え物をする。社より奥には行ってはならない。何故ならそこから先は、神様の場所だから。人は入っては行けないのだと言う。その印に、社から先の木には
さてさてさて。ここまでが前振りである。いい? めちゃくちゃ長い前振り。この背景を前提にして、私は話を進めていこうと思う。
その日、つまりは今日なんだけど。
私は真っ白の衣装と被り物をして、神輿に担がれていた。行先は山のお社。私は神様にお供えものをする為に、そのお社に向かっていた。
どうにも最近、鬼が増えているのだと村人の誰かが言っていた。他の子ども達と遊んでいる時に聞いた話だけれど、なんだか耳に残っていたのだ。私は鬼を見たことないけれど、大人が言うならそうなのだろう。
現に最近、村人が数人死んだ。鬼に喰い殺された……らしい。夜に村の外へ出た人達が、朝方になって無残な死体で見つかったのだ。食い荒らされた肉や血が辺りに散らばっていた、と村の人が話していた。
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ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» もうそんなに経つんですねぇ……。長いようで短い一年でした。いつもありがとうございます!映画公開、円盤発売後からも再開するので、またよろしくお願いします!! (2020年7月11日 9時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 気づけばもう神様の巫女は一周年ですね。本編の区切りもついたのもタイミングバッチリですね!今までもこれからも、この作品が大好きです!応援してます (2020年7月11日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» いえいえとんでもないです!ご指摘頂けたおかげで描写抜けの事にも気付けたので、私としてはありがたい限りです! わー!ありがとうございます!!迷惑なんてことないですよ!これからもよろしくお願いします! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - ユズヒさん» そうだったのですね……!私の理解が足らず、申し訳ないです。。文章の書き方が凄く好きなので、作者様の事を推して行きたいと思ってます…!ご迷惑でなければ、仲良くして下さると嬉しいです……! (2020年4月29日 2時) (レス) id: 58d60c86cb (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» なので、文字にしてある構えは抜刀をする際のものではなく、“抜刀をした後の構え”の描写となっております。もし、「いやいやそれでもやっぱりおかしいな…?」となったら遠慮なく仰ってください!ご指摘ありがとうございました! (2020年4月28日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月11日 20時