* ページ16
「普通はそうなんじゃ。鬼なんか御伽噺の中の存在として認識されておる。時が経つにつれ、認識というのは薄まっていくものじゃからな。つまりな、あの村が異様なんじゃよ。あの村の人の子等は全員鬼がおると信じて疑っとらん。だからこそ社に供え物をする。だからこそ守ってほしいと祈る。その風習も認識も、大正の世になった今でも廃れとらんわけよ」
「……なにそれ。ちょっとゾッとしちゃったじゃん。そんなん夏のホラー特番とか世にも奇妙ななんとやらでしか見たことないんだけど」
「あ、ちょっとそれは儂よく分からんのじゃがな。近くに村とかが無いからかのぉ。閉鎖的な空間じゃと、あやつらは信仰を絶やすことが無いらしい。まあもっとも、鬼を信じとるなら鬼狩りの奴らも知っていて然りなのじゃが……儂が長いこと鬼狩っとるからかのぅ……あやつら、鬼狩りの存在を知らんのよ」
「鬼狩り、ってさっきの鬼殺隊ってやつ?」
そうそうと頷く神様は未だに一点を見つめたままだ。それでも声や喋り方は呑気だからなんだか違和感しかない。
マジでそんな村あったのか。テレビの中だけの話かと思ってた。特にあの、あれ。貧乳の自称美人マジシャンが出てくる一応サスペンスドラマ。あの話に出てくる村の宗教観半端なかったよね。私マジ怖かったもん。
がさっ。近くで音がした。木が風に揺れる音じゃない。これは明らかに、何かが植物の枝にぶつかってる音。
「……なに?」
「儂の側から離れるなよ」
視線を真っ直ぐに向こうに向けたまま神様は言う。
がさがさと音は近づいてくる。というか、こっちに向かってきている。だんだん大きくなる音に、身体が強張った。
そして。暗闇の向こうから、それは姿を現したのだ。
「…………え?」
1345人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» もうそんなに経つんですねぇ……。長いようで短い一年でした。いつもありがとうございます!映画公開、円盤発売後からも再開するので、またよろしくお願いします!! (2020年7月11日 9時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 気づけばもう神様の巫女は一周年ですね。本編の区切りもついたのもタイミングバッチリですね!今までもこれからも、この作品が大好きです!応援してます (2020年7月11日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» いえいえとんでもないです!ご指摘頂けたおかげで描写抜けの事にも気付けたので、私としてはありがたい限りです! わー!ありがとうございます!!迷惑なんてことないですよ!これからもよろしくお願いします! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - ユズヒさん» そうだったのですね……!私の理解が足らず、申し訳ないです。。文章の書き方が凄く好きなので、作者様の事を推して行きたいと思ってます…!ご迷惑でなければ、仲良くして下さると嬉しいです……! (2020年4月29日 2時) (レス) id: 58d60c86cb (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» なので、文字にしてある構えは抜刀をする際のものではなく、“抜刀をした後の構え”の描写となっております。もし、「いやいやそれでもやっぱりおかしいな…?」となったら遠慮なく仰ってください!ご指摘ありがとうございました! (2020年4月28日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月11日 20時