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祷折は目の前。刀を握る手は右手。位置は自分の左耳の横。刃が頸に届くまで、確実に一秒の半分もかからない。祷折はAの一つ前の斬撃を避ける為に後ろに跳んで、まだ着地はできていない。
──これならば、刃は届く。
ザンッ!!
辺りに響いた斬撃音。血を飛び散らせる間もないまま、祷折の頸が身体から離れた。
「斬った……!」
呟いたのは炭治郎。おおっ! と声をあげたのは伊之助。煉獄はその様子を目を見開いて見つめ、猗窩座は興味深そうに眺めていた。
頸が身体から離れ、勢いそのままに飛んでいく。誰もが頸を落としたと思い、祷折をAが倒したと確信した。
……ただ“三人”を、除いては。
「……素晴らしい。あいつの頸を飛ばす女がいるとはな」
賛辞の言葉を口にした猗窩座の視線の先には、刀を振り切ったAの背中。その向こうに、にぃ、と笑みを作る祷折の顔。
その菖蒲色の瞳が、パチンと一瞬、青色に光った。
だん。地面を踏みしめて飛び上がった祷折の体。そして腕を伸ばして、離れた自分の頭を手に取って、
バチンッ!!
何事も無かったかのように、頸を体に“くっつけた”。
「…………は?」
「あ……?」
呆けた顔と声の炭治郎と伊之助を他所に、Aは一つ舌打ちをした。
二度目、だった。これで二度目。
実は、先ほど話した“決定打に至っていない”のはこの場での話で、本当はその前、この場に来る前に、森の中でAは祷折の頸を斬っていた。
確実に斬った。間違いなく斬った。なのに祷折は、今と同様自分の双眸を一瞬青く光らせ自分の頭を掴み取り、くっつけたのだ。切り傷がみるみるうちに治り、頸なんて斬られていないかのように笑ってみせた。さっきも、今も。
「っ、とぉ。これで二度目。いやーははは。まさか二度も自分の妹に頸を斬られるとはね。なかなか無いよこんな事」
からから笑う祷折と、そんな祷折を睨みつけるA。その二人の間を、肌寒い風が抜けていく。
「うーん、でもやっぱりさ。お兄ちゃんにこういう事するのは良くないと思うから、うん。さっきも言ったけど、お仕置き」
そう言った直後。Aの目の前には祷折の姿があった。
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ユズヒ(プロフ) - 莉久さん» たくさんコメントありがとうございます!!嬉しい!!やっとこさ本格的に遊郭編に入りました!宇髄さんと絡ませるの楽しいので、もっと沢山絡ませたい欲が…ぐへへ…。いつもありがとうございます!励みになりますー!! (2022年11月7日 22時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - もう何回のコメントしてすいません!だけど!私の脳がテンションを抑えきれなくてッ!アァァァッッ本格的に遊郭編突入!楽しみでしかない…✨✨文章がっ、溢れ出るこの文才…✨主ちゃんが可愛すぎます…宇隨さんとの絡み最高です!更新頑張ってください! (2022年11月7日 22時) (レス) @page48 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 莉久さん» コメントありがとうございます!!やっと宇髄さん出せました!!これから遊郭編頑張っていきますー!!いいですよね宇髄さん。これからたくさん夢主に絡ませるぞ!嬉しいお言葉を文字数いっぱい…いつもありがとうございます…!これからも宜しくお願いしますー!! (2022年10月26日 2時) (レス) @page42 id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - 久しぶりの更新有難う御座いますッッッ寝る前に読もうとしたらテンション爆上がりなりました!!!⤴主ちゃん遊郭編楽しみだなー!やっぱ宇髄さんのキャラいいわぁ…好きィ(^^ω)毎回話の内容の尊さに悶え 、文才の差を噛み締めております。続き楽しみです!…字数ゥッ (2022年10月26日 0時) (レス) @page42 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 莉久さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉の数々、ベッドの上で転げ回りながら感受致しました!本当にありがとうございます…!マイペースなノロノロ更新ですが、末永くお付き合い頂ければ幸いです〜!! (2022年9月27日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年12月20日 0時