20.今も昔も貴方だけ ページ21
ーローsideー
ロー「お前の満月みたいな目の色も、夜の空と同じ黒い髪も、狼の姿のお前だって愛しいよ」
俺がそういうと、Aがはっと息を呑む音が聞こえた。
そして、しばらくするとAの小さな手が俺の顔に触れた。
顔を上げると久しぶりに見る幸せそうな笑顔があった。
A「ずっと、おもってたの。にてるなって。……ローだったらいいなって」
ロー「A…？」
A「いきててくれてありがとう、Aをたすけてくれてありがとう、ロー」
ロー「どういう、ことだ」
まるでその言い方じゃ、お前の1番大事な人は…
A「ローだよ、Aのいちばんだいじなひと。」
ロー「は……」
呆けた顔をする俺を見て「ほめかた、かわらないからわかるよ」とくすくすと笑ったA。
A「いつかAのこと、おもいだしてくれたら、うれしいな」
(ちゅ
そう、可愛らしいキスを俺にして照れ笑いを浮かべたAは、みるみる元の姿に戻っていった。
ロー「A……！」
腕の中のいつものAは眠っているだけのようでほっと息をついた。
ロー「本当に俺が……？」
Aのような少女と話した記憶はなかった。
あるとしたらコラさんと旅をしていた頃だろうが、あの頃コラさん以外と関わった記憶はほぼない。
ロー「明日Aに聞くか…」
夏島の気候とはいえ夜は少し肌寒い。
俺は自室へとAを運ぶため足を動かした。
__________
夢を見た。
ロー「コラさん……」
目の前に現れた森の獣達が俺を狙っている。
幼い俺は珀鉛病かつ熱が出ていたせいで動くことも叶わず、ただコラさんの名前を吐くことしか出来なかった。
ここで死ぬのか、そう考えた時、後ろから何かが飛び出し俺を守るように獣達に向き合った。
暗くて何なのか分からなかったが、その何かは獣達を追い払い、こちらに近づいてきた。
ロー「(狼…)」
月夜に照らされた狼は、まるでその夜の空のようだった。
漆黒の毛並みに満月のように金色に光る瞳。
強そうに見えるのに、何処か危うい儚さがあるような。
狼に綺麗だと感じたのは初めてだった。
_____________
ロー「あァ、そうか……」
事実に気づいた時、夢から覚めた。
Aの大事な人は……
俺だったんだな。
何かが満たされたように胸があたたかくなり、俺は隣で眠るAを抱きしめた。
思い出したと言ったら、コイツはどんな顔をするだろうか
＊＊＊＊＊
2020.7.1
少し訂正しました。
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かみつれ(プロフ) - 静乱さん» 嬉しすぎて見た時叫びかけました笑！楽しみにして下さってめちゃめちゃ嬉しいです！本当にありがとうございます！！ (2020年6月23日 20時) (
レス) id: 4774b9ee20 (このIDを非表示/違反報告)
静乱 - 「これからが楽しみだな。」えぇ！めちゃくちゃ楽しみですよ！！かみつれさんのペースで頑張ってください！ (2020年6月23日 19時) (レス) id: bdcfc846cf (このIDを非表示/違反報告)
かみつれ(プロフ) - ミリアさん» ありがとうございます！！嬉しいです！！ (2020年6月17日 21時) (レス) id: 4774b9ee20 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 続編おめでとうございます！ (2020年6月17日 18時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
かみつれ(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2020年6月17日 17時) (レス) id: 4774b9ee20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かみつれ | 作成日時：2020年6月17日 9時
