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「いやあの、ちゃいますやん?」
「何がちゃうんですかねぇ…?」
「いやほんまに!!
俺とコネシマはゾムに巻き込まれただけなんやって!」
綺麗なスターリンとも呼ばれるトントンさんが、腕を組んでニッコリと笑っている。…内心は穏やかじゃなさそうだけど。
ソレに必死に首を横に振るコネシマさんとシャオロンさん。
二人の抵抗にトントンさんがゾムさんを見ると、
ゾムさんは少し間を開けた後、
「いやちゃいますやん」
「合っとるわ!!」
「お前しか凶器持ってないんやぞ!」
俺は一体何を見せられてるんだろうか。
このトントンさんを前に首を振るゾムさんに少し引く。
シャオロンさんの言った通り、その手に持った銃は隠しようもないぞ…!
「…い、いやでもトントン!物壊してはないんだぜ?!」
「だからなんや」
「えっ……、あ、ハイ…」
トントンさんの目も銃に行ったのに気付き、罪を少しでも軽くしようと声を明るくして言うも、トントンさんは冷たく返す。
…それにもうどうしようもねぇと察したのだろうゾムさんは、
大人しく片付けます…と頭を下げる。
それをトントンさんが視認するのを見て、
これで終わりで片付け始めんのかな、と、
俺は片付けから逃げるように踵を返そうとしたけど、
「あー……トントン、止めれんくてすまんな。めっさ汚れてもうた」
「今日は新兵が来る日なのに…、俺も、ごめん」
ゾムさんを見たコネシマさんとシャオロンさんが、
頭を下げた事に、俺は目を見開く。
「(…巻き込まれた、側なのに)」
巻き込まれた側に非は無いと言っても良いのに。
止めれなかったことを態々謝罪する、その姿は。
…内ゲバに新兵の俺を巻き込んだ事を謝ってくれた時も思ったけど、
人が出来てるな。
自分の非を認める事は、中々難しい。
「…はぁ……まぁ時と場合をよく考えてくれな。
今回はしっかり掃除してくれればお咎めは無しや。
はよ片付けて書類終わってない奴は書類出せ?」
「「「はーい」」」
トントンさんは宜しい、と言うように頷くと、
威圧が籠った笑みを取り消して指示を出す。
それに小学生の様にハーイと手を上げた三人は、
掃除用具を取りに行こうと歩き始める。
…。
「あ、俺もやりますよ」
「おっ、プロかぁ?!」
「助かるわ〜有難うなA君!」
「新兵君、こっちやで〜」
少しだけでもこの人達を知れた気がして、
俺は嬉しくなって声を掛けたのだった。
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kenma(プロフ) - 好き過ぎる…いつまでも更新待ってます! (8月15日 12時) (レス) @page49 id: 23621c8f5e (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 大好きです!!また更新されることを願っています! (2022年5月5日 18時) (レス) id: 85717083f6 (このIDを非表示/違反報告)
さすらいの村人B - くぅ.....続きが気になり申す、、、 (2021年12月20日 9時) (レス) @page49 id: 38e13adc7f (このIDを非表示/違反報告)
クルイ@SOS同盟 - あ、好きです...頑張って下さい! (2021年5月10日 22時) (レス) id: 6c77753d41 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠の芽-にゃお(プロフ) - なにこれ神ですか!?!?!?一気見してこの時間になってしまいました、、、、さいこうですぅうぅつう!!!!! (2021年2月3日 3時) (レス) id: b4d2a08102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ショイ太郎 | 作成日時:2020年5月29日 8時