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俺は人通りが少なくなった階段を駆け下り、
外に出る。
火に巻かれている人。
建物の下敷きになっている人。
飛び散る人体だったであろう物。
悲惨なその状況に吐き気がして、口元を抑える。
…これが戦争。聞いても、体験してこなかった惨状。
助けて、痛い、苦しい、…悲痛な叫び。
子供を探す親の声。
近場で聴こえるのは、…子供の、泣いている声。
「…ッこっち！！」
その子供の手を引いて、行く宛てもなく走る。
軍は今攻め込まれているだろうし、
攻め込まれていなくてもいずれは戦場と化す。
そんな所に子供を連れて行ける訳が無い。
別の場所、安置は…！！
考えている最中でも、無慈悲に響く崩壊の音が耳を貫く。
困惑している子供の足は、一般人だから当然の如く遅い。
手を引くのを止めて抱き上げれば、大丈夫だと声を掛ける。
そんなの嘘だと、子供でもわかるだろうけど。
＿＿＿あぁ、足が無事で良かった。
.
何とか火や崩壊した物を避けて暫く走っていると見えた橋。
狙っていた物を見つけた俺は、
走りながら腕の中にいる子供に声を掛ける。
「ッガキ……しっかり、掴まってろッ！！」
「？！おじちゃ、っ」
助走をつけて橋の柵を飛び越える。
慌てた子供の声が聞こえたが、しっかり俺を掴んでいる。
近付いてくる水面に、深く息を吸い込んだ。
ﾊﾞｼｬｱﾝｯ!!
.
「はぁ、ッは、げほ、は、ッぅ、ぷ…！」
水面から顔を出した後、動き辛い身体を捻りなんとか泳ぐ。
陸に足をつけ、子供を下ろした瞬間地面に膝をつく。
びしょびしょに濡れた自分の服は重く、寝てばっかりで動いてなかった俺の体は、…もう限界だった。
病院から近い川に子供を連れ飛び込んで泳いだ上に、
それまでずっと走っていたんだ。疲れ過ぎて気持ち悪いし。
ずっと咳き込んでいると子供の心配する声が耳に届き、
ハッとして周りを見る。
…どうやらここまで火は回ってないらしい。
「…とりま、ちょ、やすむ、か」
ぜぇ、ぜぇ、と荒く息をする自分の声が頭の中に響いた後、俺の視界は真っ暗になった。
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すみれいん(プロフ) - 構えていなかった為、まさかWrの国の方達がそうなると思っておらず、最初の2人でまじか…まじか……となり、続編に行く前にはティッシュを片手に持っていました。ありがとうございました！ (2020年11月1日 14時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
仰げば尊死 - 今後にきたいしてます (2020年6月1日 22時) (レス) id: d6069bd4ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ショイ太郎 | 作成日時：2020年5月20日 9時
