第三百十五訓 ページ26
高杉は私のとった行動に笑みを深めると、
咥えていた煙管から口を離し、ふぅ…っと煙を顔に吹きかけてきた。
『っ!?ごほっ、ちょ、何し…っ!』
高杉「…此処で行かねェんなら、俺ァこの後躊躇いもなくお前を攫うぜ?それこそ悪党らしくなァ」
『っ!?へ、』
え、待って、どう言う意味?
神威「ちょっとシンスケ?攫うのは俺だし、その台詞俺の方が先に言ったもん。取らないでくれる?」
高杉「知るか。まァこいつが攫おうと俺が攫おうと、連れてかれりゃあお前は後戻り出来ねぇ」
『ぁ、』
神威「まあそうだね。攫ってからは二度とアイツらに会わせないよ?ただでさえ情が湧いてるんだから」
これは一種の激励だ。
あの人達を壊したくない。だから避けてきたけれど、それも私らしくないじゃないか。
真撰組が危ないのなら、私が身を挺して護れば良い。
うん、名案!!!
『よしッ、』
神威「あり、行くの?」
何処か楽しげに聞いてくる神威。
高杉「ククッ、幕府の犬共に飽き飽きしたら来い……いつでも攫ってやらァ」
煙を吹かしながら妖艶に笑う高杉。
通常運転の二人に、笑ってしまう。
『二人とも世話になったね。あの人達に飽きる、なんてこと無いだろうけど……借りは返すよ』
真撰組は、とても愉快な人達だから。
高杉「そうかィ。そりゃ残念だ」
『うん、じゃあ行ってきます』
二人の優しさを噛み締めて、背を向けた。
そのまま部屋を出ようとしたが、
(……あ、そういえば二人に御礼言ってないや)
改めて二人に礼を言っていない事に気付く。助けてほらって礼を言わないのも非常識だよね?
『___高杉、神威』
私が立ち止まった事に疑問を覚えたのか、二人は不思議そうな顔をしていた。
二人の不思議そうな顔ってレアじゃない?
我ながらアホな事を考えながらも、二人に満面の笑みを向ける。
『今回の事、凄く感謝してる。
______ありがと、優しい悪党さん』
少し照れ笑い混じりだったが仕方無い。じゃあね、と続けてから走って部屋を出た。
目指すは船の前方。
大切な、真撰組の元へ。
.
「………優しい悪党、なんて矛盾してらァ」
「…可愛い表現だね。あとシンスケ、顔赤いよ」
「お前もな」
ー
802人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トめAと@とめぇーとぉーの精霊:カド松さん:(プロフ) - すごい・・・・・私比較的地雷が多いけれど全く地雷に触れてない・・・・・ここまでおもしろいと思ったのには初めてであいました・・・・・!オリキャラとかもよく殺意がわくけど有君とかぜんぜん腹立たないというかもっとやってくれって思うっていうかもう最高です! (2022年3月30日 6時) (レス) @page34 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 阿呆代表の神さん» すみません、全部知らない……本当にごめんなさいアニメ知識不足で……!!代わりと言っては何ですが他のもののリクエストもっとください!本当にごめんなさい……!!! (2021年5月27日 17時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - もう銀魂が他の作品に侵食されつつあるの草。あの、もしまだやってなくて知ってるのなら、スケットダンス、ムヒョロジ、ボーボボ、ハガレン(これに至ってはもうジャンプじゃない)…この中でひとつでも良いので、知ってるものがあれば番外編でやって欲しいです…… (2021年5月26日 3時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雲隠れさん» ま、マジですか!?有難う御座います……!感動して頂けるなんて凄く嬉しいです!!これからも頑張ります!!! (2021年5月11日 7時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
雲隠れ - 泣きました。凄く感動しましたっっ! この小説最高過ぎます…。ヒロインかわいいし面白いし、とにかく最高なので何回も読み返させていただいています。これからも頑張ってください! (2021年5月10日 23時) (レス) id: 9c937fba5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:実珠 | 作成日時:2020年12月14日 23時