第三百十一訓 ページ22
私は、毎日の様に高杉の鬼兵隊勧誘も神威の春雨勧誘も断り続けた。
二人は不満そうにしていたが……
私が真撰組をとても大切に思っている事を理解しているのか無理強いはしなかった。
勧誘自体は辞めなかったけど。
そして、そんな日が続きに続き……
とうとう、一週間が経った。
そう、今日はもう結婚当日である。
朝から私の機嫌は最悪。このまま時が止まってしまえば良いのに、とすら思う。
が、現実は残酷である。
「………暁A様、外へ」
『……』
いつも黙々と食料や服を持ってくるだけのクソ親父の部下が、今初めて喋り牢を開いた。
その部下の性別は女性だが、髪は短く最低限の物しか身に付けていない。更に無表情で、まるで人形の様。
(こんな奴等がうじゃうじゃと居るなんて、朝霧はさぞかしつまらない部隊なんだろうな)
「ついてきて下さい」
そう思いつつも、無表情なまま歩き出した部下に黙ってついていった。
(はァ…結婚、か。せめて容姿も性格も知らない男より、私を好きと言ってくれた人達の誰かと結婚した方がマシだな)
いや、こんな私なぞに好意を向けてくれるヒトが居る事自体に感謝しないとね…
これ以上は…ワガママを言ってはいけない、か。
__________
______
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それから私は白無垢に着替えさせられた。
滅多にしない化粧もされて、とても動きにくい。滅多に引かない唇の紅がもどかしい。
「こちらです」
私の緊張など露知らず淡々とある部屋に案内する部下。
『…クソ親…ごほん。私の父は?』
あぶね、クソ親父っていう所だった。
「司欧様なら責務中に御座います。たった一言、孫の顔だけ見せてくれればそれでよいと」
『…………そう、』
ギュッと拳を握った。
孫の顔、って……どの口が。それに子供を何に使うつもりなんだ。どこまでも腐ってる、あの親父…
「では、行ってらっしゃいませ」
______ガラ、
『!』
部下が縁談相手が居るのであろう襖を開ける。
(え、ちょ、急すぎ!)
文句を言おうとしたがいつの間にか部下は消えていて。足速いな。
おそるおそる襖の向こうを見ると、縁談相手だと思われる背中があった。
ゆっくりと振り返るその男。
「……そなたが俺の花嫁か」
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トめAと@とめぇーとぉーの精霊:カド松さん:(プロフ) - すごい・・・・・私比較的地雷が多いけれど全く地雷に触れてない・・・・・ここまでおもしろいと思ったのには初めてであいました・・・・・!オリキャラとかもよく殺意がわくけど有君とかぜんぜん腹立たないというかもっとやってくれって思うっていうかもう最高です! (2022年3月30日 6時) (レス) @page34 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 阿呆代表の神さん» すみません、全部知らない……本当にごめんなさいアニメ知識不足で……!!代わりと言っては何ですが他のもののリクエストもっとください!本当にごめんなさい……!!! (2021年5月27日 17時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - もう銀魂が他の作品に侵食されつつあるの草。あの、もしまだやってなくて知ってるのなら、スケットダンス、ムヒョロジ、ボーボボ、ハガレン(これに至ってはもうジャンプじゃない)…この中でひとつでも良いので、知ってるものがあれば番外編でやって欲しいです…… (2021年5月26日 3時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雲隠れさん» ま、マジですか!?有難う御座います……!感動して頂けるなんて凄く嬉しいです!!これからも頑張ります!!! (2021年5月11日 7時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
雲隠れ - 泣きました。凄く感動しましたっっ! この小説最高過ぎます…。ヒロインかわいいし面白いし、とにかく最高なので何回も読み返させていただいています。これからも頑張ってください! (2021年5月10日 23時) (レス) id: 9c937fba5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2020年12月14日 23時