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この通り!と顔の前で手を合わせ、守は私に頼み込む。
 

いや、サッカーできるってボール少し蹴れるくらいなんだけど。


守と幼い頃を共にしてきた結果、私も物心ついたころにはボールを蹴っていた。
とはいえ、守の練習相手をしたり、子供たちと一緒にボールを蹴っていたくらいだけれど

…けど、今は実力は置いといて、試合さえできるかわからない危機的状況。


――俺、サッカー部作ったらやりたいことがあるんだ。
フットボールフロンティアっていう、サッカー大会に絶対出る!
 
かつて、サッカー部を立ち上げたときに守が言っていた言葉だ。


『…わかった。もし11人集まらなかったら、私も出るよ』


決して勝てる見込みがあるわけがない。ここ最近は、練習なんてまともにできた試しがない。
それでも、この部活が…好きなものが出来なくなるのが一番辛かった。


「まじか!ありがとう!」


守は私の言葉にぱっと表情を明るくすると、私の手を掴みぶんぶんと勢いよく回し始める。


『痛い痛い痛い!ちょ、肩外れるっ!!』


あ、わりい。と守は我に返ると私の手を離す。
 

「久しぶりにAと一緒にサッカーできるの楽しみだ!」

心の底から嬉しそうに笑う守に、私も思わずつられて笑う。
帝国学園戦までには、せめて守たちと同じくらい動けるようにしておかなきゃな…。


『…よーし!じゃあ張り切って残りの部員探しを…』



 
 
「A先輩!!」

『わっ!?』


私が意気込んで再び勧誘を始めようとした時、背後から突然名前を呼ばれる。
振り返ると、そこには眼鏡をかけ、笑顔でこちらに走ってくる女子生徒の姿が。


『春奈!どうしたの?』

「帝国学園と試合するって聞いたんですけど、本当ですか!」


彼女は音無春奈。
私の後輩であり、新聞部に所属している。

新聞部は校内で事件があればいち早く嗅ぎつけてくるので、ある意味校内で恐れられていたりしなかったり。

『本当だけど…あ、もしかして新聞部の取材?』

「はいっ!是非、円堂さんに帝国との試合に向けて一言いただきたいのですが」


メモ帳とペンを取り出すその姿は、さながら記者のようだった。


「一言…あ、そうだ」

「はい、なんでしょう!」
 
 
 
「部員募集の宣伝してくれない?」

「うぇっ?」


ずる、という効果音が聞こえたのはきっと私だけではないはず。

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設定タグ:イナズマイレブン , イナイレ , FF   
作品ジャンル:アニメ
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作者名: | 作成日時:2021年11月7日 20時

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