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―放課後・サッカー部部室―
「…ちょっと待ってくれ円堂。もう一度言ってくれないか？」
「だから！！帝国学園と試合やるぞ！！」
授業が終わり、放課後。
いつものように部室に集まっていたサッカー部の面々は、守の言葉を聞いた途端、ダラダラと冷や汗を流し始める。
守が冬海先生から言い渡されたのは、なんと試合を申し込まれたという話だった。
それも、相手はあの帝国学園だという。
帝国学園。
サッカーの名門中の名門であり、この40年間、無敗というまさに日本最強のチーム。
そんなチームが、言い方は悪いがこんな11人もそろっていないチームに、試合を申し込んできたのだ。
私もそれを昼休み終わりに聞いた時は、ド肝抜かれたわ。
「きゃ、キャプテンその話本当に引き受けたんですか？」
「当たり前だ！廃部になんて絶対にさせない！きっちり11人揃えてやる！」
それもその試合は帝国学園に負けたら廃部、という絶望的な条件を叩きつけられていたのだ。
「相手は帝国ですよ？無理、絶対無理！」
「ぼこぼこにされて恥かくだけですよ…」
「この部室ともおさらばっすね…」
皆のマイナスの言葉に、どんどん部室の雰囲気はどんよりと雲行きが悪くなる。
「っ…お前らなっ！サッカーを愛する気持ちがあれば、不可能だって可能になる！」
俺、部員を探してくる！といい、守は勢いよく部室を飛び出していった。
「キャプテン…」
「…どうせ、誰も入ってくれないでヤンスよ…」
「笑いものにされるだけっス…」
口々にみんなは言葉を零した。
だが、その反応は当然といえば当然だ。100%、誰に聞いても勝てない相手。ぼこぼこにされ、敗北する未来の方が容易に想像できた。
…でも、
『…秋、私も行ってくる』
「A…！」
『サッカーが出来なくなるのは、みんなも嫌でしょ？
諦める前に、自分ができることくらいしておかなきゃ』
…まあ、こんなこと言うようになったのは確実に、あのサッカー馬鹿の影響があるけど。
部室を出て周りを見渡すが、既に守の姿はなかった。
『こういう時の行動力はピカ一だなぁ』
…けど、やっぱり気になる。
私は守を探しながら、ぽつりと呟いた
『どうして、帝国学園は私達に試合なんて申し込んできたんだ…？』
サッカーの実力を見に？いや、それは絶対にない。
ならば、別の目的でもあるんだろうか
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作者名：白 | 作成日時：2021年11月7日 20時
