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『豪炎寺君…やっぱすごい…!』
彼の放つシュートは、一年前からその威力は衰えている様子は一切なかった。
まさにエースストライカーという名に相応しい迫力のあるシュート。
追加点を取れたことより、私は彼の一年前と変わらぬ姿があるということがとても嬉しかった。
「た、たった今!帝国学園から試合放棄の申し出があり、ゲームはここで終了!」
試合はこれから、というタイミングで、帝国学園は何と試合を放棄。
元々こうする予定だったのか、帝国選手たちはぞろぞろと戻っていった。
本当に豪炎寺君目当てだったってわけですかそうですか…。
「なんと!帝国学園、試合を放棄!
これは実質的に雷門イレブンの勝利とも言える事態です!」
『…帝国に、勝った…』
得点はどうであれ、あの帝国に勝ったということは間違いない。
現実味のない喜びを段々と実感し始め、私は心の中でガッツポーズをした
・
「よく来てくれたな、豪炎寺!これで新生雷門サッカー部の誕生だ!
これからも一緒に…」
手を差し出す守に対し、豪炎寺君はユニフォームを脱ぎだした。
『ちょ、ちょまっ』
と、突然脱ぎだしたらあかんでしょ!
一応女もいるんですここに!イケメンの上半身裸の姿とか見たら死ぬ人もいるんですからね!!
「今回限りだ」
そう一言いい残すと、豪炎寺君は去って行ってしまった。
守は一瞬ぽかんとするが、直ぐに表情を戻し豪炎寺君に礼を述べた。
「あ…。…豪炎寺、ありがとな!ありがとう!」
「キャプテン、止めないんスか?」
「良いんだよ。
さあみんな!見ろよ、この2点!この2点が、雷門の始まりさ。
この2点が!俺たちのはじまりだーっ!」
「「『おぉー!』」」
最初は、11人も満たない弱小サッカーチーム。
今回も何とか廃部を免れるというぎりぎりの状況だった
でも、これが私達が日本一、世界一を目指す物語の始まりだったとは、この時誰も思わなかった。
「あぁ、今終わった。
資料通りだがやはり興味深い。特にあの円堂守…そして、長谷川Aと言ったか。
まだ実力不足だが、"伝説"の片鱗は確かに感じた。
……ふっ、心配はいらない。
彼らには強くなってもらわないとな。
私の目的のためにも。」
ただ一人を除いて。
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作者名:白 | 作成日時:2021年11月7日 20時