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「…読めねぇ。お前、これ読めるのか?」
「うん、読めるよ」
「えぇ…Aもか?」
『いや私は読めない…』
シュートの止め方が書いてある、という守が持つノートを見せてもらった一朗太はその絶望的にまで汚い字を見て唖然としていた。
そのノートを書いたのは、よく守が話してくれる彼のおじいさん、円堂大介という人。
幼いころに守が倉庫を漁っていたら、このノートとサッカーボールを見つけたらしい。
ちなみにその円堂大介さん、昔は有名なサッカー選手だったが、それを守自身が知っているかは知らない。
「帝国学園はスピードもパワーも想像以上だ。
それを止めるには、じいちゃんの技をマスターするしかないと思ってさ!
Aにも練習付き合ってもらってたんだ」
『私は見てただけだけどね』
「…お前達、本気で帝国に勝つつもりなんだな」
「あぁ!」
守は大きく頷いた。
その言葉に一朗太はふっと表情を綻ばせると、手を差し出した
「ん」
「え…なに?」
「お前達のその気合、乗った!!」
一朗太の差し出された手に全てを理解した守は、ありがとう風丸!とその手をしっかり握り返した。
「俺はやるぜ。お前たちはどうするんだ?」
「ん?」
「キャプテン…Aさん」
「ど、どうも」
一朗太が問いかけた先にいたのは、サッカー部の皆だった。
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作者名:白 | 作成日時:2021年11月7日 20時