Only One

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樹side









樹「A、貸したジャケットは？」




「あぁ部屋だ！」




樹「いいよ、自分で取ってくる」









あれから別れたのか別れてないのかわからないまま

あのことについても話さないままズルズルと









樹「……留学」









どこで貰ってきたのかもわからない紙



朝から晩までのやることが書いてある付箋だらけの机



普通ならメモしなくても覚えられるだろう事が書いてあった









知らないところでAは、少しずつ、そして着実に変わってた









「あった？もう出るよ？」




樹「……っくりした」




「あぁそれ、笑」




「別に書くほどじゃないけど念の為、みたいな笑」









Aより、受け入れるのを怖がってるのは自分の方だと思った









「行くよ？お仕事」



樹「うん」









RIKU「Aと座りたかったぁ、陣くんやだぁ」




「ざんねーん、いっちゃんと座りまーす笑」




樹「……」




「窓側がいい」




樹「いいよ、」









いつもみたいにもたれかかってきて、すぐに寝ようとするAが不思議だった









樹「………別れるんじゃなかったの」




「……いっちゃん返事くれないし」




樹「一生しない」









Aは病気じゃないよ、病気じゃない

いつものAを、病気って呼びたくない

いままでのAだって病気なんかじゃ、









「いっちゃん、あの紙見てから、私のこと普通に見れなくなったでしょ、笑」




「あぁこの子は病気だったのか」




「今も普通に喋ってるけど病……」




樹「黙って」









初めてAに冷たい言い方をしたと思う
だって涙目になってたから









「私は病気」

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