過去と、秘密と、闇と、光と。

＃１０ ページ13

彩ｓｉｄｅ


ふたりとも、信用できる人みたい。



彼らなら約束を破ることはないだろうと、確信し、真実を話す。


『桜宮財閥はご存知ですか？』


ああ。といち早くうなずいたのは長谷川さん。


『信じられないかもしれませんが、私はその桜宮財閥の跡取り、桜宮 彩です。』


予想通り。


いや、それ以上に驚く彼ら。


『本名は、桜宮 彩。
ですが、おふたりもご存知であるように、桜宮家ではある事件が発生しました。
その後、実の両親をなくした私は、
当時１番、私のお世話をしてくれていた使用人の家、「立花」家に引き取られたんです。』


立花、という家名に早川先生が反応する。


『早川先生のクラスにいる、立花奈子。彼女の家族に引き取られたんです。
奈子は私の妹も同然ですよ。』


にこりと微笑みかければ、早川先生がなるほど。と呟く。


『で、話を戻しますが、私は３年ほど前に桜宮家に、跡取りとして戻りました。
私が秀明でのアルバイトに申し込んだ本当の理由は、
人の上に立つ以上、上に立たれる側の気持ちも経験しておきたかったからです。
ですが、桜宮という名ではだめだ、危険があるという声があがったので、
偽名を使うことになったのです。』


一通り話し終えると、予想外の内容だっただろうに、ふたりとも理解してくれた。


「そういうことだったのか。酷なことをしてしまったね、許してもらえるかい？」


もちろん！と笑って返す。


『長谷川さんたちのしたことは、正しいし、当たり前のことです。
むしろ、そういう誠実な人達で安心しました。
あの、今説明した通りの事情がありますので、花宮 彩という名で通していただけますか？』


「ああ、もちろん。」


こうして、私への疑いは晴れ、これからのことの説明を受けて、今日のところは帰った。



来週から、あるみたいだから頑張らなきゃ！
あ、ちなみにね、花宮って、立花の「花」と、桜宮の「宮」から取ったんだ。

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