第三話「恐怖」 ページ4
例え近くに相席した人間がどんなに耳が良くても心音までも聞こえるなぞ。嘘だとしても心音をずっと聞いていたいなど、恐怖でしかない
「…冗談がお上手なのね。」
「いえ、私目が見えない代わりに他の感覚が良いのですよ。それにしても聴き心地が良い心音です。匂いも臭い香水の匂いはせず、柔軟剤？の柔らかい良い匂いがします。今CMで放送されてる商品ですね？名前迄は覚えておりませんが。そして体臭も良い匂いです。｣
この発言にはオーナーも私も引いた。確かに私は香水はしないが体臭とな。とんでもない盲人である。私は少し彼から体を遠ざけた。今すぐ此処から去りたい。
「…そうだわ私、大学の論文が未だ終わっていなかった。オーナー勘定を。」
私は咄嗟に嘘をつき席から立ち財布を取り出した。すると彼は微笑んだ顔を歪めることなく言い放った。
「嘘は悲しいですね。私はもっと貴女とお話がしたい。さぁ席について。」
嘘を見破られた。怖い。何だこの人。私は渋々席に着いた。
「フフ、心拍が上がりましたね。可愛い。」
「そうだわ！私、彼氏と待ち合わせしていたの！オーナー勘定を！！」
「それも嘘。貴女に彼氏は居ませんし待ち合わせもしていない。貴女、嘘をつく時心拍が少し上がるんですよ。」
「迷惑だわ。此処から出たいと思うのは私の勝手でしょ？やめて下さる？私は心理戦をやりに此処に来たのではないの。執拗いと女に嫌われますよ？」
とうとう私は我慢が出来ず彼に文句を言ってやった。オーナーは慌てて私達を落ち着かせようとするがそんなのどうでもいいのだ。
「生意気ですね。ますます面白い。」
「は？」
すると彼は私の手を引き、また微笑んだ。その顔は少し不気味で私はその顔に生理的に拒否した。
「一目惚れ、と言ったら可笑しいと思いますが。どうです？私と付き合いませんか？そうしたら先程ついた嘘、彼氏と待ち合わせが有効になりますよ？どうします？」
「…………え？」
匂いと心音と声、そして生意気な性格だけで此奴。
「手元に置いてある本、…読書家ですか。素敵ですね。どんな小説か気になります。」
冗談としても気持ちが悪い。まず初対面で告白って…。
例え容姿が幾ら整っていても許されない事はある。
「オーナーが貴女の名前を知っていましたね？此処の常連でしょうか？なら私も此処の常連になります。」
「日常が壊れた。」
小さな声で呟き、私はその事実に絶望するのであった。そしてその恐怖に私の心臓は声を上げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» わーいありがとうございます〜もっと頭悪い小説にするので何卒〜 (2022年7月28日 10時) (
レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - そう言っていただいて嬉しいです…！作品いつも楽しく読ませて貰ってます！ (2022年7月28日 10時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» いや草。誤字の指摘、ありがとうございます。あと自信を持って下さい。何回も謝る様な事貴方様言ってませんよ( 'ч' ) (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - なってしまいます。うぅ…文章が長くなってしまいすいません…失礼しました… (2022年7月28日 9時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - すいません…自分なんかが初コメでおこがましいと思いますが、第四十七話の「再会」の最後の方で『あの時は彼が』の後が『鮭の飲み過ぎ』になっていました。恐らく『酒の飲み過ぎ』だと思います。このままでは夢主の中で、条野さんがしゃけを飲んで酔う人に (2022年7月28日 9時) (レス) @page49 id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：肉塊 | 作成日時：2021年9月24日 3時
