第二十五話「恐怖!!命の危険!」 ページ26
天気の良い、新港中央広場のベンチにて私一人。いつもの様に淡々と大好きな作家の小説を読んでいる。フリをしていた。
『良いですよ。Aさん。私に近付くなオーラがプンプンです。この調子で周囲から視線を集めて下さい。』
雑音と共に、片耳に付けている小型のイヤフォンから条野さんの皮肉が聞こえてくる。
「…うる…さぃわょ。」
『おや?どうされました?』
私の今の状態なんて分かっている癖に、彼からとぼける様ないつもの憎たらしい返事が来る。ムカつくわ。
何を隠そう、私の今の状態は何時スライムにされるか分からない恐怖と何故彼等『猟犬』の圧に流され助太刀したのかという私への憎悪に心臓がいつもより五月蝿いのである。いつもより緊張しているからか、次第に吐気も出てきた気がする。
「今日も天気が良いわねぇ〜」
隣に座っている老夫婦に目をやる。仲睦ましく男性の腕を抱き締めている老婆はなんとあの幼女だと言う。どうやら彼女も『異能』を持っているらしく、能力はなんと年齢操作という事だ。もう何でもありじゃない。怖いわ。
「爺さんは今日も素敵だねぇ。(合法的に隊長の腕を腕を組めるなんてぇ!今日は最高じゃあ!!嗚呼!堪らん!この二の腕の筋肉!!)」
「そうだなぁ婆さん。」
何か変態的な叫びが聞こえた気がする。合法的と考えているだけで何故か知らないが違法の匂いがプンプンするのは気の所為だろうか。
二人は私を標的から守る為に居るらしい。だがこうもイチャコラされると守られている実感が湧かないのである。もう少し仕事してる様に見せなさいよ。不安だわ。
現在、『猟犬』部隊の彼等は別々に活動している。
幼女と隊長は私の護衛。条野さんは標的の詮索。もう一人はと言うと。
『ああ、鐵腸さんは行方不明です。どうせまた下らない事考えて先走っているのでしょう。』
「当たり前みたいな言い方しないで。」
意味が分からん。普通に仕事しなさいよ。先走らないで。下手したら大勢の命、否。私がスライムになってしまう。やめて。チームバランスそいつの所為で狂うわよ。
『まあ彼は無視してやっていきましょう。』
「え、待ってそんなノリで仕事しないで。」
不安でどんどんと心拍が上がり吐気も強くなってきた。私はその場から立ち上がり、手洗いに行こうとすると目の前に背が高く色の悪い男が私を覗き込むように立ち尽くしていた。
第二十六話「お天気情報」→←第二十四話「事件ですよ、みんな集合!」
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肉塊(プロフ) - 冬斗さん» わーいありがとうございます〜もっと頭悪い小説にするので何卒〜 (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - そう言っていただいて嬉しいです…!作品いつも楽しく読ませて貰ってます! (2022年7月28日 10時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» いや草。誤字の指摘、ありがとうございます。あと自信を持って下さい。何回も謝る様な事貴方様言ってませんよ( 'ч' ) (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - なってしまいます。うぅ…文章が長くなってしまいすいません…失礼しました… (2022年7月28日 9時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - すいません…自分なんかが初コメでおこがましいと思いますが、第四十七話の「再会」の最後の方で『あの時は彼が』の後が『鮭の飲み過ぎ』になっていました。恐らく『酒の飲み過ぎ』だと思います。このままでは夢主の中で、条野さんがしゃけを飲んで酔う人に (2022年7月28日 9時) (レス) @page49 id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2021年9月24日 3時