転入してきたのが最強紋の女の子だったんだけど。2【歌い手】

7.［光がある限り影は消えない］ ページ42

side…Mf


センラさんが「Aか俺のどこかに触れといて」と僕らに出した指示に、黙って従う。


それにしても……先程の話、どうも引っ掛かるな

何にかというと、センラさんのもう一つの魔力『記憶に干渉すること』についてだ。

珍しかったとしたら余計、少なくとも僕ら生徒会役員はその魔力の気配を薄々感じていてもおかしくないんじゃないか、なんて。
今初めて使うし、この人数運ぶ程の力なのに、今まで僕らが誰一人として感じとれてないって……


一般に、紋章は"実際その力が使えなくても"持っていることに変わりはないので、分かる人には分かるのだ。それこそ特にセンラさんは皆よりそれに長けているし、自分の紋章なので尚更分かる筈。
だけど、彼自身初耳だとさっき……



いや、……今はいいか




「……"イタイアニミキ"」



センラさんが呪文を口走ると、電源が入ったように魔法陣が浮かび上がった。
思考と共に目も閉じるとふと脳裏にAの顔が浮かぶ、笑顔で過ごす今までの彼女と、暴走した彼女が。


(……必ず、助ける)




＊




「「！！」」


「……成功、やね」



瞼越しの光が消えて、冷たい風が僕の髪を撫でた。
センラさんの声にきっと僕達は一斉に目を開けたんだろう……僕の口から言葉が出るタイミングで、坂田が僕の言おうとしたことを代弁する。




「ほ、本当に……田舎やな」



見渡す限りの植物色。山も近いし、森もあるし、歩く道だけが剥げた草原に木でできた家も建っている。

村だと一目で分かるような、田舎。



「で、此処って……？」


「……ちゃんと出来てれば、約16年前やね」



天月の質問に答えるセンラさんの背後で、そらるさんにまふ、と手招きされる。ちょっと言いづらそうな顔だ。


「……Aって16歳？」

「15歳です……1,2年生で一学年ですし、あんまり意識してなかったですけど」


今更だけど、この学園(高等部)は強さに違いがあり過ぎて昔に事故があったので1,2年生で一つの学年になった。
つまりは、一二年でごちゃ混ぜ状態でクラス分別ってこと。歳をあんまり意識しないようにもされているから、知らないのも無理ないくらいだ。
……ほら、年下が自分より実力上って嫌でしょ？


3年生だけは普通にクラス分別されるだけで、そこで初めて「あの人歳上だったんだー」ってなるのだ。



「……ってことは普通に考えて、今はAが生まれる直前？」

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