転入してきたのが最強紋の女の子だったんだけど。2【歌い手】

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「坂田っ……！」



ガチャガチャと音を立ててうらたんの抱えた武器が手から滑り落ちていく。

私はただただ呆然としていた。

目の前でガタガタにひび割れたコンクリートの地面の上に転がる坂田さんを見て。
ボロボロになっているステージ上に叩きつけられたまま壁の中でぐったりしているまふくんを見て。



―――「逃げるんやうらさん！！」




嗚呼……




―――「此処は僕達が食い止めます！」




私はまた、





「……」

『あ…みな、さ……』




繰 り 返 し た と い う の か ?







■「……フぅー…一掃完了、っト。おい、ソっちは？」




場にそぐわない程に明るい声で楽しそうに喋り出す天使が、手をパンパンッと払って振り返った。
その様子にどうしようもない怒りと殺意が湧いて、思わず手をグッと握り締める。





□「はぁ、終ワったぞ」


■「……お、？」



空中浮遊する黒髪の天使は武器の落ちる音に気づいたのか、私達の方を見やって……汚い笑顔でニタリとわらった。



■「自らデ向いてくルとか、こいツらの努力ハ何だっタか」


□「タイミングぴったりにキたねぇ〜」




「ｯ！！お、まえらぁぁあああ！！！」



その相手を馬鹿にした口調と表情。うらたんは呆然としていた状態から一気に怒りが頂点に達したようで、私が見たことない程の憎悪に歪んだ顔で一帯の空気を震わして叫んだ。




□「おウおう、俺らト殺り合うキかよ？」


■「馬鹿ダねぇ〜？こんなニなった仲間タチを見て尚殺り合おウ、なんテさ」


□「まぁコいつラ、結構楽しめタけドな」


■「確かに〜」


□「……こいツなんテ俺の顔に傷つケラれたシなァ」




……え？


白メッシュの天使が、顎で二時の方向を指さす。そこに目線を合わせ、辿れば…………彼がいた。
見たかった彼が、見たくない姿で。




『あ……ぁあ…………！』


「あ、……あま、つ…き……っ！」




傷と血だらけで木の根元に転がる……天月さんが。この中で一番重症だろう、彼が。




「A……治癒魔法、持ってたよな？」


『…………はい』


「みんなを治してくれるか……？」


『……ですが、』


「……ごめん。俺…さ」




私に優しく微笑みながら、自分を手を見つめたうらたんがその手を爪が食い込んで血が滲み出しそうな程に握り締めた。


空気が……、天月さんの側にあるその木が


震えたような気がする。





「……ちょっと、暴れて、くるわ」

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