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side……A
「お、お前なんでこんなところにいんの!?」
突然のやまだちゃんの登場に、うらたんは綺麗な若葉色をした目を零れそうな程見開いた。
小さくてふわふわな手で私の制服のスカートをきゅっと掴むやまだちゃんは、そんな主人に挨拶することもせず、振り返って上に向かって手を振る。
『誰か呼んでいるの……?』
終いにはぴょんぴょんジャンプをして手を振るやまだちゃんの目線をうらたんと辿ると、
「『……え』」
その先には、何が入っているのか歪な形でパンパンになり、大きくなった泥棒柄の風呂敷包みを両手で持ち、その重さ故か低飛行しているまふてるが来た。
私達の前に到達するなり、限界だったようで両手をバッと離す。
ガチャガチャガチャ__!
「あー……もう、まふてるそんな雑に下ろ…」
『あ!うらたんこれ…』
雑に下ろしたせいで、結び目が解けた風呂敷の上に散らばっているそれらを見て、私達の言葉が止まった。
何故なら、それは――――……
『み、皆の武器……!?』
「お前ら……」
私と目が合うと、ニッコリと笑って親指を立てるやまだちゃん。まふてるは休憩していたが、こちらも目が合うとドヤ顔で敬礼のポーズをとった。いや可愛い。可愛いけど……
『……うらたん』
「…………あぁ、仕方ない」
行こう、皆のもとに。
こんな私に逃げろと言ってくれた。逃がしてくれた。戦ってくれた。
……だけど
『行かなきゃ……!』
あの日の後悔を、繰り返さないために。
私を守ろうとしてくれた、まふくん達の為に。
沢山の武器の中からそれぞれ自分の物を取り、装備する。私はいつも腰に付けていたから鞘に付いているベルトでいつも通りに固定した。
そして……そのまま指を落とす。
黒ベースに紫紺で描かれた刺繍が主なこの鞘の中に唯一、縁どられた赤い花の刺繍がある。名前はまだ知らないけど、綺麗な花。
その上を指でなぞって、花の上で止めた。
そう、私は戦いにいくんじゃない。守りにいくんだ。
この剣をくれた人が、そう教えてくれた。
「A!あっちの方角で間違いない!走っていける距離!!」
『うん!』
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キツネ(プロフ) - や、ヤバい。しらす(。∀ °)で話が何も入ってこねぇ!ていうかそこで爆笑したw (2019年5月12日 23時) (レス) id: f12a239c64 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» そう言っていただけて嬉しいです!移行したパート3の方もよろしくお願い致します! (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
赤りんご(プロフ) - ばけモノ。さん» いやいや、全然大丈夫です!この小説大好きです!更新楽しみにしてます! (2018年8月27日 21時) (レス) id: d52f074cb8 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 倖穂さん» 可愛いイラストをありがとうございました!まだ1話しかないですが移行致しましたのでそちらの方もよろしくお願いしますね!(´∀`) (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» 凄く嬉しいです!とても可愛いイラストをありがとうございましたぁぁ!!文字数の関係で本作には感想を書けませんでした、…すみません……。 (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばけモノ。 x他1人 | 作成日時:2018年7月19日 23時