4. ページ14
〜学園祭2日目(最終日)〜
『そらるさん……あの、大丈夫ですか?』
早朝の生徒会室のドアを開けてみれば、ソファで眠っていたらしい……そらるさんの目がそっと開く。
「……ぅ、きりゅう……?」
『はい、霧生です。……まさか、此処に泊まったんですか?』
昨日、寮内でそらるさんの姿を見ていない私。
いや……私昨日は普段より遅くに坂田さんと帰ってきて、疲れてたからご飯食べてお風呂入ってからすぐに寝ちゃったんだけれど……
何ならご飯を用意してくれていたまふくんとソファでゲームしていたうらたんしか見てないけど。
「んや、帰ったけど……
そういや霧生はもう寝てるってまふが言ってたっけ……」
『そ、そうなんですね……っていうかそらるさん、ちょっと失礼しますよ』
赤い顔をして、いつもよりも気だるそうな、眠そうなそらるさんの額に手をあてる。
………
『……あつっ?!』
「あ……やっぱ?」
『……完璧に熱ありますね。体温計ってありますか?38度は越えてるやつですよこれ……』
「あるよ、そこの棚のちっちゃい引き出し
はぁー…学園祭2日目なのに、熱って俺……」
そらるさんは呆れたようにぼやいた後、深い溜息を零す。その熱い吐息にまたも顔を顰めて、そっと右手首を両目の上に置いた。
表情は見えないけど……辛そうなのは明確だ。
『うーん……そうだなぁ、少しだけこの部屋を空けていいですか?私、保健室から冷やすもの持ってきます!』
「ん……ありがと。でも保健室、鍵開いてないかも」
『分かりました!急いで行ってきますね!
……因みに廊下を走っても?』
「…………特別ね」
悪戯っぽく口角を上げたそらるさんにガッツポーズをして、私は生徒会室を後にした。
散々徹夜して、当日の朝まで準備して、生徒会長としての重荷まで背負って。そらるさんの……いや、生徒会メンバー誰かの体調が崩れるのは安易に予想出来た筈だ。
(…………後悔してる場合じゃない。今は、急ごう)
私は首を振り、短い息を吐いてから思い切り床を蹴って加速した。2階にある職員室に寄って鍵を貰い、窓から飛び降りて1階の保健室へ行く。帰りも同じようにして2階へ飛び、そらるさんのいる生徒会室に全力で走った。
ガラガラと扉を開けると、そらるさんはソファから目を丸くして私を見つめた。
「は、はやくね……?」
『全力疾走しましたので!』
668人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キツネ(プロフ) - や、ヤバい。しらす(。∀ °)で話が何も入ってこねぇ!ていうかそこで爆笑したw (2019年5月12日 23時) (レス) id: f12a239c64 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» そう言っていただけて嬉しいです!移行したパート3の方もよろしくお願い致します! (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
赤りんご(プロフ) - ばけモノ。さん» いやいや、全然大丈夫です!この小説大好きです!更新楽しみにしてます! (2018年8月27日 21時) (レス) id: d52f074cb8 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 倖穂さん» 可愛いイラストをありがとうございました!まだ1話しかないですが移行致しましたのでそちらの方もよろしくお願いしますね!(´∀`) (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» 凄く嬉しいです!とても可愛いイラストをありがとうございましたぁぁ!!文字数の関係で本作には感想を書けませんでした、…すみません……。 (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ばけモノ。 x他1人 | 作成日時:2018年7月19日 23時