私と、婚約破棄してください。【御影玲王】

婚約破棄 3日目。 ページ5

Aside




＿＿＿嫌でも朝は、やってくる。





婚約破棄を伝えるならその次の日が休みの日にすれば良かった、と反省する。







鏡を見れば泣いたと一瞬で分かる腫れぼったい目。

そう、私はこの目をどうにかするために早起きをした。






…玲王と登校のタイミングが一緒になりたくないとか、そういうのでは無い。そう、断じて無い。








使用人に冷やすものを貰い、瞼に当てる。
熱を持った瞼が冷やされる感覚。








なんで婚約破棄を言った私が泣いてんだ、なんて玲王は笑うかな。

…いや、私の事なんて見ないよな。

興味、ないもんね。










((…こうやって瞼を閉じて浮かぶのは、玲王の笑顔。

…玲王に染まってるな、私。))




これ以上玲王のことを考えたくなくて冷やすのを終わらせる。








人前に出ても余程のことがない限り気付かれないくらいに腫れは引いた。






『よし、準備しよう。』







婚約破棄を言った自分自身を後悔なんてしてない。私は新しい人生をリスタートするんだ。





＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿









「キャー！玲王様ー!!」
「かっこいいー!!」






窓の外に見えるのは、キャーキャー言われている玲王。



私は無事登校時間をずらすことに成功。←






相変わらずの笑顔で対応してる玲王は人気者。

いつでもどこでも囲まれていて、私は婚約者になってからもずっと不安だった。






＿＿もう今は、何かを思う権利は無くなってしまったけれど。








「おはよA！今日は早いね？」




そう笑って声をかけてくれたこの子は、橘 柚(たちばな ゆず)。私の親友。







『柚、おはよう。うん、ちょっとね。』







言葉を濁した私と窓から玲王を見てた私で柚は何かを察したらしい。







「ははーん、さては喧嘩したな？」








『……うーん、それより重いけど…。


分類としては一緒、なのかな…。』







婚約破棄したなんて公(おおやけ)の場では言えないから、曖昧な言葉でしか言えなくて黙り込んでしまう私。







そんな私を見て柚は目を丸くして驚いていた。








「……珍しいね。二人がそんなに深刻になるなんて。

じゃあ人来ないとこで昼休み話そう。」







『…うん、ありがとう。』









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橘 柚(たちばな ゆず)


橘家の令嬢。
隣のクラス(玲王と凪のクラス)に婚約者がいる。
婚約者とはラブラブ。



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