#33 回想 ページ33
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『えなになに桃華の話?笑』
『うちらも混ぜて!』
私の肩に乗っかるように話しかけてきた女子二人組。
クラスでは一番仲良くしてる子たち。
『もしかしてA桃華のこと信じてんの?笑』
『やめときな、信じるだけ無駄だって笑』
「まー急だし信じられんのもわかるけど」と言いながら二人は近くにある椅子に座った。
「…ほんとにやってないかもしれないじゃん」
『は、ウケる笑 儚い友情ー笑』
『絶対信じない方がいいって!あんな奴さー…』
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「…何話してるの?」
その場の空気が少しだけ凍る。
不意に聞こえたその声に誰もが反応した。
「桃華…」
……いつからそこにいたの?
もしかして今の聞こえた?
『え…っ桃華』
『…く、来るなら言ってよー!一緒に行ったのに…』
桃「…二人が1組に入るの見えたから来たの」
『そっかー…!』
『…あーでも5組帰ろ?』
さっきまで桃華の悪口を言っていた二人が慌てて桃華に優しく話しかける。
一応、この二人は表面上では桃華と仲良くしてるから。
桃「え…なんで?1組にいようよ」
桃「…それに、私はAたちと話したいし」
桃華と目が合う。
この前と変わらず悲しそうな顔をしていた。
そんな表情を見るのが辛くて、目が合った瞬間晒してしまったけど。
『Aたちと話したい?』
『えーまじで言ってる?』
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『Aたちさっきまで桃華の悪口言ってたよ?』
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「………は、?」
思わず持っていたペットボトルを落としてしまった。
勿論キャップは空いていて、ジュースで床が汚れる。
それでも私はペットボトルを拾う気はなかった。
『なんかー「桃華ならやると思ってた」って言ってた!』
『あと「可哀想だから一緒にいてあげてるだけで、好きで一緒にいるわけねーし」とかー』
ちがう。
だれもいってない。そんなこと。
でたらめいうのやめて。
『桃華のこと好きじゃないらしーよ?』
『こいつら友達のフリしてけっこーえげつないことしてるし。ね、話しても無駄だって』
「ねえまって…!」
私が声を発したのと同時だった。
桃華が走って教室を出て行ったのは。
みんなその背中を見つめるだけで、
あとを追うものは誰一人としていなかった。
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作者名:メロンパンケーキ | 作成日時:2020年3月27日 19時