11話 ページ14
「お？」
不意に、ボーと寝転んでいた信が何かを思い立ったように立ち上がり、大王のもとへと行った。
「あの彼、見ていて飽きないな……」
昌文君の軍の連中にもみくちゃにされている信を、私と河了貂は呆れた顔で見ていた。
「でも馬鹿だぞ」
「それは見ればわかる」
大王のことを呼び捨てにする下僕なんて、聞いたことがない。
私も主である月のことをよく呼び捨てで呼んでるけど、私の場合は月と乳姉妹で生まれた時からずっと一緒にいるから黙認されてるだけだ。
大王は別に気にしてないらしく、信の無礼を咎める昌文君の軍の連中を制していた。
「オレ向こう行くけど、お前も来るか？」
「そうだね。ここにいたって暇だし」
私と河了貂はとりあえず大王たちの方へと行った。
「俺はどうしたら将軍になれるんだ？」
信が目指そうとしているのは、あまりに無謀な道だった。
「今のお前にその道は存在しない」
そして大王が言うことも紛れもない事実だ。
「!?」
ま、下僕が将軍になるなんて無理だよな
そもそも徴兵されるのは戸籍登録され、尚且つ水準以上の財をもつ家からだけ。
住む家も持たない下僕の身の信には、武功どころか戦場へ行くことすらできない。
下僕のままなら……ね
「信、そうくじけるな。将軍なんて貴士族の者でもそう簡単になれる代物じゃない。ましてや下僕の君がなろうなんて夢のまた夢…」
「水刺すようで悪いけど、方法がない訳では無いよ」
これまで静観していた私が突然会話に加わり、壁は弾かれたようにこちらを見た。
「それはどういう──」
「分かった」
壁の質問に被さるように、信は言った。
「じゃあ政が玉座を取り戻した暁には、俺は土地をもらって家を建ててもらって、財をもらえばいいんだな!!」
信のトンデモ発言に、昌文君たちは言葉も出ない様子だ。
「なんだ、分かってるじゃん」
他にも士族の養子になるとか、下僕から脱する方法がない訳でもないが、この場合は信が言った方法が一番手っ取り早いだろう。
「………そういうことだ」
「約束だぞ！」
「そのかわり他の十倍働け」
「百倍やったらァ」
信と話してる時の大王は、臣下といる時よりも幾分年相応に見えた。
月が興味を持つのもわかるわ
あの大王もなかなか面白い
もう少し、この人たちについて行くのもありかな…
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ナツピー(プロフ) - 麗桜さん» コメントありがとうございます。早めに続きかけるよう頑張ります(^^) (2019年9月9日 10時) (
レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - 最高に面白いです！更新頑張ってください！ (2019年9月9日 10時) (レス) id: 529aeaeb6e (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - ふぃどるさん» コメントありがとうございます！なるべく早く更新したいと思います。 (2019年6月11日 23時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃどる - 面白いです！ 続きを期待してます！ (2019年6月11日 23時) (レス) id: 51833c3598 (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - Mizさん» 初コメありがとうございます！内容固まり次第更新するのでお楽しみに(^^) (2019年6月2日 12時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツピー | 作成日時：2019年5月20日 15時
