【HQ】月島くんと日向さん

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　年中騒がしい先輩らを横目にいつものように欠伸をする。俺に部活中なんて関係ない。眠いんだから。
　そんなことを貫く俺を呆れ顔で見る隣のやつは無視することにする。



　今日も今日とて練習が終わり、部室に戻った。
　体育館でも部室でも変わらずの先輩はいつものようにあの人の話をする。大声ではないけど、周りはそんなに煩くないからかよく聞こえるし、他の人たちのその人についてなんとなく覚えてしまっていた。


　ああ、そうだ。とスマホを取り出して操作をする。
　企てていたことを思い出して、少しだけ口元が緩んだ。金田一の「なに企んでるんだよ」なんて言葉も気にしないほど、俺の目線は一直線に騒がしい先輩へと向けられている。


「あの、及川さん」


　岩泉さんと話していた及川さんはぱっと振り向いてムカつく程整っている顔をこちらに向けてきた。


「ん？……なーに国見ちゃん」
「じゃーん」

　そんな余裕を崩してやろうとスマホを前に、及川さんに見せつける。
　一瞬ぽかんとした及川さんだったが、何かに気づいたのか目を大きく開かせて口をぱくぱくとさせた。スマホの画面と俺の顔を交互に見て、嘘でしょと言いたげだ。



「え？……ええっ！？なんでなんで！！」
「内緒です」
「いつの間に……！？」
「教えませーん」



　及川さんに見せた、『ひゅうが』の名前とラーメンのアイコン。言わずもがな日向Aさんの連絡先だ。
　俺にくっつこうとする及川さんだが、俺には野郎と抱き合う趣味はないのでさっと避ける。後ろに控えている岩泉さんが静かなのが一番怖い。

　まだグズグズと言葉を零す先輩を見てふっと笑ってしまう。



「えええ俺にも連絡先頂戴よ〜！」
「嫌ですただ自慢したかっただけですもん」



　国見ちゃんのケチ！性格悪！
　そんなこと言われてもキレませんし、ただ面白いだけですよと思いながら薄ら笑った。


　及川さんがこんなにも面倒臭くなっているのにも理由がある。まあただ単純で、日向さんに恋しているらしいというだけの話だ。実際に本人の口から聞いたということはないけれど、中学の頃からそんな話をずっと聞かされるこっちからしたら好きなんじゃね？って思う他ない。



　俺は面白半分にこんなことをやってみたけど、本当に面白いことになったから大成功だ。
　岩泉さんにうるせぇ！！と言われて軽く殴られてるのを見て「おもしろ」と呟く。



「……国見こっわ」

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