19 練習見学�� ページ19
.
「じゃあ二人とも、今日は練習見学だね。緊張しなくていいからね」
「シャチ！！」
「はい」
緊張しすぎてる仁花ちゃんを見て大丈夫かな……と不安になる。流れ玉に気をつけてと付け足された一言にもう一度はい、と返事するが、仁花ちゃんからの返事がなく見てみると不思議そうにしていた。その顔を眺めていると、いきなり周りを気にしてぶんぶん頭を振っていたので大丈夫かと、とりあえず思っておくことにした。
懐かしい試合風景を見て、必死にやる彼らはかっこいい。純粋にそう思う。
リベロをやっていたからなのか、やっぱり目につくのは彼らのレシーブ。三年生は安定して上手いなとか、蛍と翔陽くん二人と練習させて欲しいとか。あとは西谷先輩は相変わらず上手でプレーが静かだなあ……とか。
目の前でバレーを見てると自分もやりたくなる。そう思わされる。
ドガッと痛々しい音と共に、あ、ブロックされた。そう思った瞬間。ボールが向かってくる。
それは隣の仁花ちゃんに向かっていて、咄嗟に仁花ちゃんの前に出てると同時にボールを受け止めようとした。
「……わ」
その前に掌がにゅっと出てきて酷く痛い音がする。
すごい。声に出なかったその言葉が心に響いた。
翔陽くんが飛んだ。いや、飛んだことより反射のスピードが早いのかな。自分が止めようと思ってたのにいきなり飛び出た彼の存在に驚いた。
「あっ仁花ちゃん大丈夫！？」
「わっ私はダイジョウブ！Aちゃんは……！」
「平気平気〜！なにより翔陽くんが取ってくれたから」
安堵で肩を下ろす仁花ちゃんに安心して笑う私。
すごいね、バレーって！と拳を握って目を輝かせる。その輝きに目を逸らしてそうだねって相槌した。
その後、清水先輩が会話に参加して、烏野男子バレー部の話をしてくれた。私は高校で部活に入るつもりがなかったから部活のことなんて考えてなかったけれど、昔の男バレはそんな強いなんてこと知らなかったのである。
落ちた強豪 飛べない烏。その烏達が飛ぼうと、今努力を重ねている。それを今私は目の当たりにしているのか。
烏が鳴くのを聞きながら、清水先輩は言う。
「……今度こそ行くんだ。全国の舞台……！」
それは私には眩し過ぎた。
「私とは違うなあ……！」と仁花ちゃんの心躍るような声を聞く。私の、光の落ちた表情に、鋭い視線を向ける彼に私は気付けなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 479人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
辛 - 日本語化ちょいちょい変。てにをはもおかしい。無理に難しい言い回しわ使わない方がいいと思う。 (9月11日 12時) (
レス) @page26 id: 5015934a65 (このIDを非表示/違反報告)
む - めちゃくちゃ良かったです。他の作者様だと冷たかったり口が悪い月島が多いですが、このお話の月島は冷た過ぎず、他人に干渉し過ぎず距離感がちょうど良かったです。とても上手に表現していると思います。告白も月島からなのが良かったです。 (2021年4月18日 4時) (レス) id: be1d7978bd (このIDを非表示/違反報告)
KOMORE(プロフ) - むさん» 本当に長らくお待たせしました……！皆の感情にどう現実味を出すかたくさん考えていたのでそうやって受け取って貰い感無量です。全文私にとって嬉しく糧になるお言葉です。読んで下さり本当にありがとうございました！ (2021年2月10日 10時) (レス) id: d075f9ab0b (このIDを非表示/違反報告)
む - 更新楽しみにしていました！ 皆の心の動きがとてもリアルで、ツッキーはこんな子とこういう恋愛をするのだろうな、と胸にストンと落ちました。等身大の高校生なこの作品がとても好きです。 完結おめでとうございます！ (2021年2月9日 2時) (レス) id: 727df39cb7 (このIDを非表示/違反報告)
KOMORE(プロフ) - なづなさん» コメントありがとうございます！テーマとしている高校生感を感じ取って下さりとても嬉しいです……！ゆっくりですが完結までついてきて頂けると有難いです。応援ありがとうございます！ (2020年5月11日 21時) (レス) id: d075f9ab0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：KOMORE | 作成日時：2020年1月14日 22時
