1 隣 ページ1
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ざわざわと少しうるさいクラスで席替えが行われた。
仲の良い子と離れ離れになってしまった私は、落ち込んだ気分のまま指定された席に着いた。音を立てて、机の左側の突起にリュックを掛ける。手に持っていた筆箱だけ机に置いて、座った。
「あ、」
「うわ」
隣の嫌そうに顰めた顔を見て、私もムッとなる。因みに最初の第一声はわたしだ。
まだほぼ入ったばかりの学校で、席替えもそんなに数はしていない。なのに二回も同じ人になるってどういうことだ。まあ……私のクラスは他のクラスに比べ、席替え多い方らしいけど。
二回目のお隣さん、月島くんは嫌な顔をして私を見た後、「ドウモ」と言って前を向いた。相変わらず捻くれているやつだ。一回目の時はもうちょっと愛想良かったはずなのにな?心を許した証拠かな?
悶々と考えてやっぱ分かんない!と結論が出たから投げ出すことにした。
席が変わった後は大した話をするわけでもなく、必要事項とこれからの文理選択の話を少し。そうして、鐘が鳴るから起立、礼と号令がかかった。さようなら〜。そうバラバラに聞こえた声とすぐに人が消える教室。友達に頑張れ、明日ねって言って手を振った。
音の消えた教室で少し溜息を吐いた。
みんな部活に熱中してるから、帰宅部なんてそうそういない。いや、いるにはいるけどこのクラスは少ない方だ。
私もすぐ帰ろう。必要な教科とかファイルとか、その他諸々入れてちょっとだけ重みを感じるリュックを背負う。隣を見てまた「あ、」と声を出した。
その声で振り向く彼はすこし難しい顔をしてなに、と小さく言う。
「また明日ね、部活頑張れ」
そう言って笑った。
彼は眉間の皺が元に戻って「キミも不審者に襲われないように気をつけてネ」とにっこり言われた。そしてわざとらしくはっとした顔をして私を再度見る。
「あ、キミなんて襲う輩いないか」
「いい加減にしてくださーい」
流石にムカついたので、長い足の脛を軽く蹴る。このままいても時間を潰すだけだし、月島くんも時間があるだろうし。馬鹿力とかぼやいてる彼に「ばいばーい」って声かけて教室を出た。
廊下に出ると、山口くんとぶつかりそうになってすぐ謝る。
「平気平気!ツッキーまだ教室いる?」
「うん、いるよ」
「わかった!ありがとう!」
爽やかな笑顔に癒され、山口くんは教室に向かっていく。月島くんは山口くんを待ってたのか。
青を背景に足を動かしてそんなことを思った。
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辛 - 日本語化ちょいちょい変。てにをはもおかしい。無理に難しい言い回しわ使わない方がいいと思う。 (9月11日 12時) (レス) @page26 id: 5015934a65 (このIDを非表示/違反報告)
む - めちゃくちゃ良かったです。他の作者様だと冷たかったり口が悪い月島が多いですが、このお話の月島は冷た過ぎず、他人に干渉し過ぎず距離感がちょうど良かったです。とても上手に表現していると思います。告白も月島からなのが良かったです。 (2021年4月18日 4時) (レス) id: be1d7978bd (このIDを非表示/違反報告)
KOMORE(プロフ) - むさん» 本当に長らくお待たせしました……!皆の感情にどう現実味を出すかたくさん考えていたのでそうやって受け取って貰い感無量です。全文私にとって嬉しく糧になるお言葉です。読んで下さり本当にありがとうございました! (2021年2月10日 10時) (レス) id: d075f9ab0b (このIDを非表示/違反報告)
む - 更新楽しみにしていました! 皆の心の動きがとてもリアルで、ツッキーはこんな子とこういう恋愛をするのだろうな、と胸にストンと落ちました。等身大の高校生なこの作品がとても好きです。 完結おめでとうございます! (2021年2月9日 2時) (レス) id: 727df39cb7 (このIDを非表示/違反報告)
KOMORE(プロフ) - なづなさん» コメントありがとうございます!テーマとしている高校生感を感じ取って下さりとても嬉しいです……!ゆっくりですが完結までついてきて頂けると有難いです。応援ありがとうございます! (2020年5月11日 21時) (レス) id: d075f9ab0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KOMORE | 作成日時:2020年1月14日 22時