28. ページ28
.
『あの、シゲくん？
今さらだけど、どこに向かってるの？』
さっきシゲくんはどこかにナビをセットしていて、よくわからないけど多分自宅とは反対の方に向かっている。
「ん？ああ…
内緒にしとこうと思ってたけど、そうだよな…
やっぱ言うわ」
独り言のように呟くと、シゲくんは改まって言った。
「今日、実はホテル取ってあって。
それで、一緒に泊まらないかなって…
いや、そうだよな。こんなの内緒にしとかないで前もって言っとかなきゃないやつで…
なんか、ごめん」
『え？何がごめん？』
シゲくんは目的を告げた後、また1人で喋って、そして最終的に何故か謝った。
『行きたい。シゲくんと、お泊まりしたい』
突然のお誘いに驚いたけど、シゲくんとの初めてのお泊まりに胸が弾む。
シゲくんは右手でハンドルを握ったまま左手をこっちに伸ばして、私の手を握る。
「なんか俺、早まっちゃって。
色々リサーチして決めたとこだから、多分Aちゃん気に入ってくれると思うけど。
まぁ最悪キャンセルする覚悟もできてたけど、よかった」
『すごい。オーシャンビューだ』
シゲくんが連れてきてくれたのは有名な高級リゾートホテルで、部屋付きの露天風呂からは目の前の海が一望できる。
「気に入った？」
王様が座るみたいな大きいソファに身体を預けたシゲくんが、優しい目でこっちを見ている。
『うん、凄いね。でもここ、お高いんじゃ…』
露天風呂があるだけじゃなく、よくよく見れば家具もアメニティも高級品。
私なんかが気軽に泊まりに来れるような部屋ではないのは確かだ。
「大丈夫大丈夫。
そんなの気にしなくていいから。楽しいと思ってくれてるなら、素直に楽しんどいてよ」
『うん…』
さっき付き合い始めたばっかなのに、お言葉に甘えちゃってもいいのかな。
「ねえ、Aちゃん。こっちおいでよ」
手招きされるままシゲくんに近づくと、シゲくんは私の身体に腕を回して引き寄せる。
『わっ。ちょ、ちょっと。重いから』
シゲくんの膝の上に座る形になって、慌てて立ち上がろうとしたけど、シゲくんの腕にがっちり捕まって離して貰えない。
「全然重くないし。
Aちゃん。今日は…っていうか、
今日からはいっぱい俺に甘えてよ」
シゲくんの手が顔に伸びてきたかと思うとそのまま引き寄せられて、唇が重なった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まり(プロフ) - ぽ わ た す 。さん» コメントありがとうございます(*^^*)読者の方には主人公に自分を重ねて読んで頂けたら、と思って書いていたので嬉しいです(*^ω^*)これからも引き続きよろしくお願いします！ (2019年3月20日 0時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ わ た す 。(プロフ) - 初めまして！情景が本当に浮かんでウキウキしながら読んでました！主人公の自信の無い感じとか自分に重ねたり、としていましたが、本当にいい作品です！次作も読もうと思うので楽しみにして待ってます（≧∇≦） (2019年3月19日 23時) (レス) id: 1a6840d4ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ゆっちゃんさん» コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいです(>ω<〃)〜引き続きお付き合いよろしくお願いします！ (2019年3月19日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - シゲ担なんでこれ読むたびにキュンキュンしますww 他の３人のも読もうと思ってます！お疲れ様でした！頑張って下さい(о´∀`о) (2019年3月19日 23時) (レス) id: cfad8bd8ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます(*^^*)何回も読んで頂けてるということで、とっても嬉しいです(o´艸`)これからも引き続き宜しくお願いします。 (2019年3月2日 14時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まり
| 作成日時：2019年2月14日 0時
