26. ページ26
.
『なんで…』
なんで今日ここで告白されるって気付かなかったんだろう。
今までの私に対するシゲくんの言動、さっきの神社のお参り。
シゲくんが私のことを好きでいてくれて、告白しようとしてしてくれてたことなんていくらでも予想できたのに。
だけど、シゲくん。
なんで今なの？あと1週間でお別れなのに。
涙がどんどん溢れてくる。
「あれ。なんかマズかったかな…」
嬉し涙ではないと察知したシゲくんが困惑の表情を浮かべる。
『違うの…』
シゲくんを困らせたくなんかないのに。
泣いてる場合じゃない。
ちゃんと言わなきゃ。
『違くて…シゲくん、あのね。
転勤が決まったの。来週引っ越すから。
だから、シゲくんとは付き合えなくて…』
「そっか。随分急だね」
シゲくんが困ったように笑う。
「俺、ちょっと自惚れてたわ。
てっきりAちゃんも俺のこと好きでいてくれてると思ってて。
なんかごめんね。いつもAちゃんとこに押しかけたり、今日みたいに連れ出したりして」
『なんで？私、シゲくんのこと好きだよ？
だからシゲくんと一緒にごはん食べるのもお出かけするのも楽しかったよ』
「いや、待って待って。
その好きってのは、どういう…」
シゲくんが怪訝な顔で首を傾げる意味が理解出来なくて、私も首を傾げる。
『ん？どういうって…たぶんシゲくんが言ってるのと同じ好きだと思うんだけど』
「えっと…
Aちゃんはどこに引っ越すの？どっか外国？」
『違うよ』
引っ越し先を伝えると、シゲくんが笑いだした。
「なんだ、めっちゃ近いじゃん。車でも電車でも割と簡単に行けるとこだし。
それで、確認だけど。俺ら好き同士ってことでいんだよね？」
『うん…』
頷くとほぼ同時にシゲくんの温もりにふんわり包まれる。
「じゃあ、俺の彼女になってよ。
別にAちゃんが転勤したって、うちの隣からいなくなったって、会いたくなったら俺すぐに会いに行くし。何も問題ないでしょ」
ほんと、その通り。
いつもそばにいて毎日顔を合わせるのが当たり前になっていて、引っ越す＝お別れと思い込んでしまっていた。
遠距離恋愛とか無理って思ってたけど、そりゃ今より遠くなるけど、そこまで遠距離じゃなかったか。
『うん、そうだね』
腕の中で頷くと、シゲくんはぎゅっときつく私を抱きしめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まり(プロフ) - ぽ わ た す 。さん» コメントありがとうございます(*^^*)読者の方には主人公に自分を重ねて読んで頂けたら、と思って書いていたので嬉しいです(*^ω^*)これからも引き続きよろしくお願いします！ (2019年3月20日 0時) (
レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ わ た す 。(プロフ) - 初めまして！情景が本当に浮かんでウキウキしながら読んでました！主人公の自信の無い感じとか自分に重ねたり、としていましたが、本当にいい作品です！次作も読もうと思うので楽しみにして待ってます（≧∇≦） (2019年3月19日 23時) (レス) id: 1a6840d4ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ゆっちゃんさん» コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいです(>ω<〃)〜引き続きお付き合いよろしくお願いします！ (2019年3月19日 23時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - シゲ担なんでこれ読むたびにキュンキュンしますww 他の３人のも読もうと思ってます！お疲れ様でした！頑張って下さい(о´∀`о) (2019年3月19日 23時) (レス) id: cfad8bd8ff (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます(*^^*)何回も読んで頂けてるということで、とっても嬉しいです(o´艸`)これからも引き続き宜しくお願いします。 (2019年3月2日 14時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まり
| 作成日時：2019年2月14日 0時
