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『この近くに住んでたことがあるの。
もう10年以上前だけど』
こないだ行った海とは反対方向の東京から電車で1時間程の場所。
めっちゃ遠いって程では無いけど、こっち方面には来た事が無かった。
初めてなのに見覚えがある気がしたのは、きっと昨日見たAの絵がこの風景と完全に一致しているから。
「今でもたまに来るの？」
『実はここを離れて以来、初めてなの』
へぇ。
すっげー記憶力。
てか、なんでこのタイミングで来たんだろう…
「もしかして、絵を描きに来たの？」
Aは首を横に振る。
『小さい頃住んでた家の事を思い出して、来たくなったんだ』
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小さい頃、しかもほんの少しの間住んでただけなのに、Aは迷うことなく目的地を目指して歩いていた。
「もしかして、今もAのお父さんが住んでたり…」
『ううん。いないよ。
だから、もしかしたらもう無くなってるかもしれなくて…』
急に寂しそうな顔するから、繋いでいた手に少しだけ力を込めた。
「大丈夫。今もちゃんとあるでしょ」
何も根拠は無いけど、大丈夫な気がした。
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かつてAが住んでいた家は、ちゃんとそこに建っていた。
門扉には、『空き物件』の看板が取り付けられている。
「オシャレな家じゃん。庭も広いし」
『お父さんがデザインしたの。
あの大きい窓の部屋がお父さんのアトリエで…』
ん？待て待て。
「アトリエって、何者よ。Aのお父さん」
『画家』
そうなんだ。
全然知らなかった。
でも、納得。
Aの才能は父親譲りだったわけね。
『今も時々ハガキが届くんだけど、毎回違う場所からで…電話番号は分からないからこっちからは連絡出来ないし…』
「そっか」
もしかしたらもうこの世には…なんて勝手に想像していたから、元気だということにひとまず安心した。
「これは、何の木？」
Aが庭の隅に1本だけ立っている木を眺めていた。
花が咲いていないから、濃い緑の葉を生い茂らせたこの木が、いつかAが言ってた『乙女椿』だったなんて思いもしなかった。
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なのはなさいた(プロフ) - 初めて読ませて頂きました！すごく面白いです！楽しませていただいてありがとうございます！！ (2020年6月5日 0時) (
レス) id: 9a9c48371e (このIDを非表示/違反報告)
ラーク(プロフ) - 大変失礼致しました。 (2020年5月9日 20時) (レス) id: bda1f630a7 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - ラークさん» 申し訳ありませんが、そちらの作品は私の作品ではございません。 (2020年5月9日 18時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
ラーク(プロフ) - こちらからすみません。Secret Love、シゲアキ先生と恋をします、のパスワードを教えていただけますか？よろしくお願いします。 (2020年5月9日 17時) (レス) id: bda1f630a7 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 彩耶さん» 最後までお付き合い頂きありがとうございました！また機会があればよろしくお願いします。 (2020年3月10日 2時) (レス) id: fa3c703b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まり
| 作成日時：2020年2月10日 13時
