【2】 ページ7
【語り/Yugo】
「ただいまぁ〜」
クタクタに疲れて、何日かぶりに帰宅した。
「おかえり！良かった帰ってきた！」
何日かぶりの再会を惜しむでもなく
切羽詰まったように慎太郎がかけてきた。
「どしたの」
「ほくとが、すごい熱なんだよ。
さっきまで元気だったんだけど…」
慎太郎が言い終わる前に
俺は階段をかけあがっていた。
＿＿＿＿
ベッドの上で荒い息をする北斗の顔は真っ赤で
汗でサラサラの髪の毛が額に張り付いていた。
北斗を見つめながら、
樹と慎太郎は今にも泣きだしそうで…
「ほっくん、辛いね」
大我は北斗に声をかけながら、
俺を振り返って「水も飲んでくれない」って
力なく呟いた。
「今日は俺も樹も学校休んだんだけど…
さっきまで何でも無さそうに遊んでたんだよ…」
遂に慎太郎の目から、涙が溢れて…
きっと全員がどん底だった。
突然親が死んで、今は目の前で末っ子が苦しんでて…
それぞれの、やり場のない辛さを
ひしひしと感じた。
それでも、こいつらを守れるのは俺しかいないと
自分を奮い立たせた。
震える手で救急車を呼び
北斗に声を掛け続けて
何が何だか分からないまま
気付けば病院に着いていた。
「色々あったからね、ストレスかな。
心臓に問題は無かったから、解熱剤入れてるよ。
あと、ちょっとだけ苦しそうだったから酸素も。
早く下がるといいね」
櫻井先生はそう言い残して病室を出て行った。
あとから3人はタクシーで来ることになっていて
今は病室に北斗とふたりきり。
まだ、北斗は少しだけ苦しそうな息遣いで
酸素マスクが定期的に白く曇る。
“北斗くんに何かあったらどうするの？
あの子を死なせることになるのよ？”
静かな病室で何度もその言葉が頭の中で繰り返された。
やっぱり無理なのかもしれない
自分たちだけで生きていくなんてのは
もしかして、北斗にとって不幸なのかもしれない。
俺の勝手なエゴなのかもしれない
そんなことさえ頭をよぎった。
そしたら何故かﾎﾟﾛﾎﾟﾛﾎﾟﾛｯって
突然涙が溢れて……止まらなくなった。
北斗に聞こえてしまわないように
必死で声を押し殺す。
不安で、悲しくて、辛くて
情けなくて、切なくて
「大黒柱…しっかりしろよ」
でも､､､､
いつの間にか、大我がそばに居て
俺の肩にそっと手を置いてくれていた。
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KIKO(プロフ) - 新道踏切さん» 読んでいただきありがとうございます！楽しみにしてくれていたなんて嬉しすぎます。今後もよろしくお願いします(^^)また色々描けるように頑張ります！ (2021年4月28日 10時) (
レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
新道踏切(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ちょくちょく更新されらたびに、次はいつかなって凄く楽しみにしていた作品だったので、完結なさって嬉しかったです(^^)北斗くんの頑張りとか末っ子の可愛さとか最高でした！！また、KIKOさんの作品見てみたいので書いて欲しいです^^* (2021年4月26日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - しずくさん» ありがとうございます(^^)とても嬉しいです。これからもよろしくです！ (2021年1月12日 8時) (レス) id: c67a5f8f31 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すごく面白いです。これからも頑張ってください。 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
KIKO(プロフ) - まひるさん» コメント嬉しいです！これからも頑張りますのでよろしくお願いします( ;∀;) (2021年1月11日 14時) (レス) id: 6c56772b46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KIKO
| 作成日時：2021年1月10日 18時
