【4】 ページ12
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「ゆーご、ごめんね…ねえ、許して？」
「だから何のごめんねだって言ってるだろ？！」
家の車庫に着いて、車を降りても優吾の表情は変わらず。
怖くなって腕にすがるように巻き付いた北斗を、優吾は振り払った。
玄関を入ったのと同時にそんな大声が響いて、
大我、樹、慎太郎が驚いてやってくる。
「なに、どうしたの？」
大我の問いかけにも応じず、優吾は階段を駆け上っていく。
「ねえ、待てって！」
それを追いかけるように大我も優吾の後を追っていった。
優吾の背中を目で追って
呆然と立ち尽くす北斗。
北斗には分からなかった。
優吾がなぜ、こんなにも怒っているのか。
いや、優吾の表情は怒るというより…
悲しそうという表現が正しいかのようにも見えたけど。
過去を思い返しても、一度も向けられたことの無いような
突き放されるような目つきは、北斗をとてつもなく不安にさせる。
自然と呼吸が早くなって
泣きそうになるのを必死で堪えようとする北斗。
「おい…落ち着けって北斗。何があったの？」
呼吸が浅くなって肩で息を始めた北斗に焦って
慎太郎が駆け寄り、背中をさする。
高地家では、北斗を泣かせることもタブー。
このまま呼吸が保てなくなれば発作を誘発しかねない。
長男の優吾が誰よりもそうさせることを嫌っているはず。
穏やかなはずの優吾の剣幕に他の兄弟たちもおろおろとするばかり。
「…わかっ…ない。わ…かん…なぃっ…けど、
おれ…ゆーご、おこらせて…きら…われたっ」
ついに北斗の目から涙が溢れて
苦しそうに息をし始めるのを慎太郎と樹が必死に落ち着かせようとする。
「わかったから、北斗泣くなって。
苦しくなるから、ゆっくり息してごらん。
呼吸するのに集中して。」
樹が、パニックになりそうな北斗の視界に入ろうとしゃがみ込むと
北斗は助けを求めるように樹の胸の中におさまった。
「大丈夫だから…
な？ゆっくりゆっくり」
樹に包まれ、慎太郎に背中をさすられて
次第に落ち着きを取り戻した北斗は
時折、スンッと鼻をすすっていて…
ボーっと一点を見つめている。
「北斗…落ち着いた？苦しくない？」
「…うん…ごめん」
樹と慎太郎は、ホッと胸を撫でおろし、
北斗をゆっくりとリビングのソファへと移動させた。
ソファの隅っこで両膝を抱え、
慎太郎が入れたホットココアのカップを持つ北斗が
とてつもなく儚く感じる。
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KIKO(プロフ) - nkrysuさん» はじめまして。少し前に完結したものにこうしてコメントが来るのが嬉しいです🥺❤️続編も楽しんでいただけると嬉しいです❤️ (2021年10月28日 19時) (
レス) id: 16d48c36dd (このIDを非表示/違反報告)
nkrysu(プロフ) - はじめまして。うるうる涙を流しながら読んでしまいました（ ; ; ）（笑）続編も読ませていただきます！ (2021年10月28日 9時) (レス) @page42 id: 42b1441c9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KIKO
| 作成日時：2020年10月16日 10時
