51話 ページ7
雄英敷地内を車椅子で移動する私が珍しいのか、皆の視線を集めながらも目的地には無事到着した。生徒の混乱を避けるためにと一応雄英の制服は着ているけれど、"ヒーロー科"の"轟焦凍"と仲良さげにしている姿が気に食わないのか、その中にはヒソヒソと嫌な目で見てくる生徒もいる。うう、ちょっと居心地が悪いし雄英生じゃないから罪悪感も凄い。でもどうせここに来るのは今日限りだし今は今を楽しもう。
焦「綿あめ一つください」
そんな視線にさえ気が付かない後ろの彼がそう言葉を発する。出てきた綿あめは想像以上に大きくて、本当に空に浮かぶ雲のようだった。
そして現在私の荷物は焦凍くんが持っているわけなのだが、何故か私の鞄ではなく自らの鞄を漁って財布を取りお金を出したのでさすがの私もアタフタする。
貴「待って焦凍くん、お金…」
焦「いい。俺の奢りだ」
貴「そういう訳にはいかないよ。ただでさえ私は焦凍くんに沢山借りを作りまくってるのに。
…今回のことだって、私を文化祭に招待するために雄英の先生に頭下げてくれたんでしょ？」
焦「知ってたのか？」
貴「ううん、何となくそう思っただけ。…でも、ありがとう。私を元気づけたいって想いは十分に伝わった。私、焦凍くんには感謝してもしきれないや。
だけど、それとこれは話は別だよ。さすがにもうこれ以上借りを作ったら全部返せなくなっちゃう。だからお願い、私に払わせて？」
何とか彼を説得し、綿あめを受け取る前に代金を手渡した。良かった、百円ちょいの綿あめ代で今までしてもらった借りが返せるとは微塵も思ってないけれど、これで少し気持ちは楽になったぞ。
初めて食べる綿あめ。手触りは本当にフワフワで、口に入れるとすぐに溶けてなくなるけれど、口いっぱいに広がる砂糖の甘さに私の口元は緩く弧を描いていた。
きっと私は、今日を絶対忘れない。
あーあ、
今日が、永遠に終わらなければいいのにな。
なんて思っていた私の体は、刻一刻と限界が近付いていた。
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レーズン(プロフ) - ユリの花さん» コメントありがとうございます！感動してもらえて良かったです…！ハンカチをどうぞ！(？？)3部も更新始まりましたので、是非最後まで宜しくお願いします ー！ (2021年8月23日 22時) (
レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
ユリの花(プロフ) - もう途中から泣きながら読んでました…。続きが楽しみです。頑張って下さい！ (2021年8月23日 0時) (レス) id: 871fb938ae (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - あいのみさん» コメントありがとうございます！うわああああハンカチをどうぞ！(？？)好き嫌い別れそうなこの作品をここまで読んでくださり本当に嬉しいです…！でもまだ3部がありますので、もし良ければ3部の方も宜しくお願いしますっ！！ (2021年8月22日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - なつみさん» コメントありがとうございます！あっやっぱり書いてた方がいいですかね！？生きるのか否か予想しながら読む人もいるかと思って「好き嫌い別れます」とだけ書いてたんですが…そうですよね、はっきり書いた方が分かりやすいですからね…！ご指摘もありがとうございます。 (2021年8月22日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - 浜辺海さん» コメントありがとうございます！予想してくださってるの凄く嬉しいです！ネタバレになるので詳しくは言えないのですが、何があるかは是非3部で確認して頂けたらと思います！読んで下さり本当にありがとうございます！！ (2021年8月22日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レーズン | 作成日時：2021年8月21日 23時
