74話(出久side) ページ30
焦「…正直、まだ頭が追いついてねぇ。アイツは俺の目の前で眠るように死んじまって、でも、病室に行ったらまたあの笑顔に会えんじゃねぇかって…。そう思っちまうほどに、安らかな顔で目を閉じたんだ。…Aは」
切「轟…」
僕たちからも見てわかるほど、轟くんはAちゃんのことが大好きだった。Aちゃんが亡くなって、この場で今一番辛いのは彼だろう。目の前で彼女を失ったその悲しみや絶望は、僕たちには到底計り知れないものだ。
慰めるように上鳴くんと瀬呂くんが轟くんの背中をさすり、ソファに座らせたところで再び轟くんが口を開いた。
焦「…それでだな。Aから、最後の願いを聞いてきたんだ。これを、皆で見て欲しいと」
上「これって…、Aちゃんが持ってたスケッチブックじゃね！？」
焦「ああ、そうだ。このスケッチブックに文化祭の時の思い出を絵にして残しているらしい。…だから、見てみないか？…皆で」
この場にいる誰もが息を呑む。夕飯までは少し時間があったから、机にスケッチブックを置いて囲むように僕たちも椅子に座った。
轟くんが一枚ずつ確認するようにページを捲っていき、中間部まで捲り終えたところで手の動きが止まった。…そして、僕たちもそこにあった絵に目が奪われてしまった。
耳「わ、あ…何これ、え、めちゃくちゃ上手い…」
出「というか何か…」
焦「……Aの目には、俺たちがこんな風に映っていたんだな」
楽しそうに踊ったり演奏したり演出したりする僕たちが忠実に再現された絵。感動しつつも再び次のページを捲ると、これもまた驚かされるものがあった。
麗「…！っ、ねぇこれ、もしかして、一人ずつに送られたメッセージじゃない！？」
上「マジで！？」
出「いち、に、さん………二十。うん、確かに二十人分ある」
焦「……読んでも、いいか」
一言ずつだけど僕たち全員に宛てられたAちゃんからのメッセージ。気にならないはずがなかった僕たちは頷く他に選択肢なんてなかった。
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レーズン(プロフ) - ユリの花さん» コメントありがとうございます！感動してもらえて良かったです…！ハンカチをどうぞ！(？？)3部も更新始まりましたので、是非最後まで宜しくお願いします ー！ (2021年8月23日 22時) (
レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
ユリの花(プロフ) - もう途中から泣きながら読んでました…。続きが楽しみです。頑張って下さい！ (2021年8月23日 0時) (レス) id: 871fb938ae (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - あいのみさん» コメントありがとうございます！うわああああハンカチをどうぞ！(？？)好き嫌い別れそうなこの作品をここまで読んでくださり本当に嬉しいです…！でもまだ3部がありますので、もし良ければ3部の方も宜しくお願いしますっ！！ (2021年8月22日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - なつみさん» コメントありがとうございます！あっやっぱり書いてた方がいいですかね！？生きるのか否か予想しながら読む人もいるかと思って「好き嫌い別れます」とだけ書いてたんですが…そうですよね、はっきり書いた方が分かりやすいですからね…！ご指摘もありがとうございます。 (2021年8月22日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - 浜辺海さん» コメントありがとうございます！予想してくださってるの凄く嬉しいです！ネタバレになるので詳しくは言えないのですが、何があるかは是非3部で確認して頂けたらと思います！読んで下さり本当にありがとうございます！！ (2021年8月22日 23時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レーズン | 作成日時：2021年8月21日 23時
