命にキスを 〜アウトローな未来のお話〜

二十八　ビアンカ　ミーツ　ロバート＆キャロル ページ28

夜の友達のひとりが話しかけてきた。名はハーマン・ジャック。偽名を使っていて、皆からはハーマンと言われている。前に一度彼氏彼女の関係で本名を教えてもらったことがあるけれど、酒を飲んで忘れてしまった。

　灰色の短髪で黒のジャンパーを着て、女くらい色白の男だ。
「こいつの論文を見れるなんて、お前は頭がイカれてるよ」
　ハーマンは鼻で笑って、もう一度バイクを走らせて私達の前から姿を消した。私は不機嫌そうに「あー」と低い声をもらしてうなだれた。

「で、私の論文に何か用？」
「スタンプ細胞の研究結果。俺とキャロルの考えたiPS細胞スリーの使い方と組み合わせたら最強だと思うんだ。俺達は培養して、無くなった部分の皮膚の上に置くんだ」

　メモ帳とシャープペンをポケットから取り出して、バイクの座る部分に置いてせかせかと書き出した。

「スタンプ細胞をその隙間に埋めて、培養した皮膚と元あった細胞を繋ぎ合わせるんだ。スタンプ細胞は高速で細胞を作れるから手術現場で使えると思うんだ。糸を使わなく出来る」
「お前等が作った皮膚に酸をかけてスタンプ細胞とくっつけるって話か？ 無理だよ。スタンプ細胞には寿命がある。一回マウスでやってみたんだがな、傷口にスタンプ細胞を流しこんだらすぐに止血は出来た。

　だがその部分は三ヶ月で腐ったし、腐り始めたら感染病にかかりやすくなってな。病原菌が入りやすくなった。キリンだとか兎だとかのウイルスにも感染したんだ。

　そもそもスタンプ細胞は高速で細胞が作れるが、寿命は短いし他の細胞との相性が悪い。流石にあのiPS細胞スリーと合成したって寿命の点は誤魔化せないと思うし、拒絶反応起こすと思うぜ？ スタンプ細胞とiPS細胞スリーと酸性の反応はニトログリセリンよりひどい爆発を起こすんじゃねえか？」

　ロバートは、バイクレースをしている不良でも頭が良いな、という驚きの顔をしていた。私はシャープペンを奪いとって、爆発の意味を表すBRAIN BOMPと書いた。そして親指を下に向けた。

「あんたそんな事も分からなかったのかよ」
　その場を去ろうとする。
「待ってくれ。そもそもスタンプ細胞は応急処置でしか使えないんだ。俺達が手を組んで、その細胞が腐らないようにするのはどうだろう？ 薬とか作ってさ。
　もちろん、ニトログリセリン爆発もしないように研究とかしてよ」

二十九→←二十七　ビアンカ視点

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

ラッキーアルファベット

X

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す