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二十五 ジェームズ、恐怖の集大成 ページ25

皿にキッチンぺーパーをひいて、その上にビスケットを入れた義母が戻ってきた。色のない唇と肌が不気味だ。皿をテーブルの中心に置き、俺の隣に座る。義父が口を開けて一文字も発さないうちに、俺がそれを止めた。
「ふたりに話しがある」
「……なんだ」
「親子の縁を切りたい」
「貴方、それがどういうことか分かってるの」
 カッターで切ったように義母の言葉が入った。
 俺はそれに無言で頷いた。

「ジェームズ。現実を覆すような事は俺は好きじゃないんだ。お前はバンクス家の二代目を継ぐ男だ。許嫁だって今日――」
「親父。ハッキリ言わせてもらえば、バンクス家を継ぐ運命を俺は送りたくない。ひとりの男として人生を歩むつもりだ。もう名前だっていらないんだ」

「ジェームズ」
 義父が声を張り上げる。
「馬鹿なことを言うな。家(ここ)を出て行った二年間、お前は何を見て来たんだ。バンクス家がない未来は闇の世界が成り立たないも同じ」
「親父」
 今度は俺が声を張り上げる。
「俺は未来をしょってたつほどの男に見えるか?」
 両腕を広げ、身体の全てを義父に見せる。義父を疑問のこもった目で凝視する。

 その時だった。家の外で怪物が駆けてくるような、異常な音が部屋に響いた。俺は両手で耳を塞ぎ、窓の外を見た。義父と義母は揺もせずにそのまま座ってた。
 音が大きくなるにつれて、ビスケットの山が崩れ、コーヒーカップが揺れる。本当に怪物がこちらに突進してくるのではと思うほどだ。しばらくして、鞭がしなる音がしてそれは止まった。
 俺はソファから立ち上がり、窓へ駆け寄った。二匹の三メートルを裕に超える馬が、台車を引っ張っていたのだ。
「ジェームズ。朗報だ。お前の許嫁だ」
「……親父」
 俺は絶句した。目が点になった。
「ザックスという猟銃を取り扱っている財閥を知っているだろう。バーバレー様だ」

 間髪を入れずに義父の首根っこを掴み、右拳に力を入れて頭上に上げた。

「お前、俺の言うこと全部聞き流してんだろ! 俺はお前の操り人形じゃない、バンクス家の跡取りでもないんだ!」

 拳を振り下ろす。何処に命中したのかは分からない。俺は拳に力を入れ続けた。俺を止めようとする義母を蹴り倒した。狂乱していると、次は俺の首根っこが掴みとられ左頬に強い痛みが走った。連続で鎖骨や耳と言った所を殴られた。

二十六 義父vsジェームズ→←二十四


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設定タグ:シリアス・ローファンタジー , アメリカ外国・海外小説・男主 , SF   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 椋香さん» 毎度、暖かい目でみて頂いて感謝しております。ロバート&キャロルシリーズは、キャラ設定の割にハードボイルドなお話なんですよね。かみ合わない所が俺的にはツボですが(苦笑) 椋香先生はこういう系が好みなのかな? また機会があれば楽しく書きたいです! (2015年6月7日 20時) (レス) id: e81dc0df4c (このIDを非表示/違反報告)
椋香(プロフ) - 読了しました〜。言われてしまうと、裏設定書き込んでほしくなります…。今回も楽しく読ませていただきました♪またこのジャンルにも挑戦してみてください!こんな未来にならないことを祈りつつ…。 (2015年6月7日 16時) (携帯から) (レス) id: 79a496978a (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - ふたまさん» 感想ありがとうごうごさいます(*´∀`) このお話は書き始める前から仕込んでいたネタだったので、そう言っていただけると嬉しいです。これからも頑張って書き続けます。ありがとうございました♪ヽ(´▽`)/ (2014年11月5日 22時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
ふたま(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!話が深くて超面白かったです…!書き方がお上手で憧れます(/∀\*)これからも頑張ってくださいね! (2014年11月5日 20時) (レス) id: fd0c711392 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 感想ありがとうございます!(*^^*) 改行は縦書きはなしで、横書きは幾つか入れた方がいいそうです。改行ない方が正しいと思っていて、この作品は入れなかったのですが、最近知って修正しました。描写についてはまだ改善案があると思うのでがんばります(><) (2014年7月24日 12時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:   
作成日時:2013年9月14日 23時

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