二十一 ページ21
ジェームズはスープを一口飲み、満面の笑顔でビアンカを見ていた。それにビアンカは肩をすくめてキャロルと視線を合わせながらもスープをすすっていた。
「チキンの焼き具合は結構こだわった方なんだぜ？ シンプルに塩コショウとバターで味付けしたんだけど、結構美味しいと思うよ」
「ああ」俺はにこりと笑い、立ち上がってジェームズとチキンを取り分けた。
「い、依頼の件だけれど、どうするか迷ってるの。ニューヨークに行ってきたわ。依頼者はチェルノブイリ生まれの麻薬中毒者で変人。ライバルの麻薬貯蔵庫を破壊してほしいらしくて、お腹に小型爆弾があるライオンと狼の愛の子が欲しいんですって」
「そんなこと後で良いだろ？」
「良くないわよ。仕事だもの」
「依頼者、結構良い額払ってくれるらしいぜ」ビアンカが口を挟んだ。「五十万ドルも」
今はお金の話をされてもなびかない。俺は一言も話さずにニコニコしていた。ジェームズは動揺したのか、一瞬目を大きくして唇をひきつった。
「悪い額ではないし、麻薬貯蔵庫を破壊するっていうのも素晴らしいと思うわ。けれどね、ふたつの命がかかってるのよ」
「初めてのことではないのだがな。私達の違法行為を二百も三百も集めて一枚一枚書類にしてきやがってよ。何処かからほじくったのか、証拠を含めてな。断れねぇ」
ジェームズがチキンを切り取るためのナイフを右手で持ちながら、強く俺の肩を叩いた。俺は笑うのをやめて女ふたりの話に関わることにした。クリスマスなのに汚い仕事の話だなんて本当に憂鬱だ。
「俺が依頼者と交渉するよ。何も怪人を作らなくても、貯蔵庫を破壊すれば良いんだろ？」
「それどういう意味だよ」
ビアンカが屈強な目で俺を睨んだ。溜息をついて目線を逸らす。
「五十万ドルも渡すような野郎だ。相手も金間で、相当大きい貯蔵庫を持っているだろう。それを消滅させるんだったら、中心から爆破させた方が良い。でも中心なんて目立つ所には爆弾なんて置いておけない。だったら俺達が乗り込むまでだ。そういうこ」
「ちょっとロバート」キャロルが大きな声を出した。
キャロルは興奮のあまり立ち上がった。身体を俺の方に向け、重い頭を沈めていた。俺はナイフを置き、ポケットに手を突っ込む。俺はキャロルが何を言いたいのかを分かっていたし、どれだけの心情を持って口にしているのかも理解していた。だが、そっぽを向いていた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 椋香さん» 毎度、暖かい目でみて頂いて感謝しております。ロバート＆キャロルシリーズは、キャラ設定の割にハードボイルドなお話なんですよね。かみ合わない所が俺的にはツボですが(苦笑) 椋香先生はこういう系が好みなのかな？ また機会があれば楽しく書きたいです！ (2015年6月7日 20時) (
レス) id: e81dc0df4c (このIDを非表示/違反報告)
椋香(プロフ) - 読了しました〜。言われてしまうと、裏設定書き込んでほしくなります…。今回も楽しく読ませていただきました♪またこのジャンルにも挑戦してみてください！こんな未来にならないことを祈りつつ…。 (2015年6月7日 16時) (携帯から) (レス) id: 79a496978a (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - ふたまさん» 感想ありがとうごうごさいます(*´∀｀) このお話は書き始める前から仕込んでいたネタだったので、そう言っていただけると嬉しいです。これからも頑張って書き続けます。ありがとうございました♪ヽ(´▽｀)/ (2014年11月5日 22時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
ふたま(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!話が深くて超面白かったです…!書き方がお上手で憧れます(/∀＼*)これからも頑張ってくださいね! (2014年11月5日 20時) (レス) id: fd0c711392 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 感想ありがとうございます！(*^^*) 改行は縦書きはなしで、横書きは幾つか入れた方がいいそうです。改行ない方が正しいと思っていて、この作品は入れなかったのですが、最近知って修正しました。描写についてはまだ改善案があると思うのでがんばります(><) (2014年7月24日 12時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ：
作成日時：2013年9月14日 23時
